進まない「参議院改革」
参院選まで残り2ヵ月となり、永田町は、いよいよ「選挙モード」に入ってきた。昨年8月に発足した「みんなの党」を皮切りに、「たちあがれ日本」、「日本創新党」、「新党改革」と、次々に新党が結成され、参院選を見据えて、それぞれマニフェストの準備に取り掛かっている。
そんな中、相変わらず低調傾向にあり、各党の論議が依然として進まないのが「参議院改革」だ。参院選だからこそ論じられるべきテーマであるにも関わらず、民主党や自民党だけでなく、新党でさえも、このテーマに切り込む意欲を見せていない。そもそも、「参議院改革」なる言葉が出てくる背景には、その存在理由の曖昧さにある。
参議院創設に関する審議が行われた1946年5月16日召集の第90回帝国議会で、憲法学者でもある国務大臣の金森徳次郎は、参院の意味について、第1に「1院では十分に捉えきれない民意を代表し1院の偏向を補完することができる」、第2に「第1院の陥る過ちを批判し、専制化の危険を抑制し、調整する機能を営むことができる」、第3に「長期の視野に立つ政策立案、慎重で成熟した立法作業を営むことが可能である」と述べた。
ところが今の参院は、参院で行われる政策論議が衆院の二番煎じとなっているため「ミニ衆院」、「衆院のカーボンコピー」と揶揄される始末。しかも、タレント出身者が多いことから「芸能院」とも言われている。次の参院選でも、民主党は五輪メダリストを3人立て、自民党も元プロ野球選手、国民新党はプロレスラーを擁立。歌手や元ヌード女優まで出馬する。