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日本企業の「人への優しさ」がAI活用の足かせに?経済産業省が官民連携で進める“現場データのAI化”

「全員AI人材」を実現している先進企業事例から学ぶ教訓

目指すは「全員AI人材・全社AI企業」 先進企業の事例から学ぶ

 真に価値あるAI活用には、「業務プロセスを再構築する経営判断」と「全社員リスキリング」が不可欠だろう。その好事例として、渡辺氏はサイバーエージェントの取り組みを紹介した。

 同社では、ウェブ広告のクリエイティブ制作に生成AIを活用することで、デザイナー1人で制作できる本数が、1ヵ月で30本から170本に増加。また、AIタレントを起用した広告では、クリック率が396%改善する事例も出ている。

 また、同社は2016年から生成AIの研究開発を始め、「ゼロから見直す心構え」で業務プロセスを再構築した。そのうえで、執行役員を含む6,300人の全社員に対し、生成AIによる業務効率化や新規事業の着想を目指すeラーニングを実施し、社員の99.6%が試験に合格したという。これは、AIを企業活動の中核に据える「AI駆動フェーズ」への移行に必要な、組織全体のコミットメントと人材育成の成功例と言える。

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 先述した支援策のほか、GENIACは基盤モデルの社会実装を加速させるべく懸賞金コンテスト「GENIAC-PRIZE」も実施している。これは、基盤モデルを作るのではなく、それを組み込んだアプリケーションのプロダクトを作ることを重視したものだ。

 コンテストのテーマは「製造業の暗黙知の形式知化」「カスタマーサポートの生産性向上」といった現場の具体的なニーズに設定。加えて、ユーザー企業(事業会社)が主体となり、AI開発者やSIerとタッグを組んでコンテストに申請することが可能とのことだ。このコンテストには、2024年9月末までに製造業67件、カスタマーサポート74件の合計141件のエントリーがあった。

 実際に寄せられたアイデアとして、製造業の課題解決をテーマにしたものでは、サプライチェーンの様々な段階(調査・研究開発、企画・設計、保全・トラブル対応など)で暗黙知の形式知化を目指す応募があったという。たとえば、研究者が過去の文書から関連情報を抽出する技術、技術と課題のマッチングシステム、ラダー図の生成、復旧作業のサポートなどが提案された。

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 経済産業省は今後、国際競争力と透明性を確保した「国産の汎用基盤モデルの開発」についても、安全保障やイノベーション創出力確保に向けた重要な論点として政府内で議論を進めていくという。それは、同省が最終的に目指す「総合的なAIエコシステム」構築の土台となる要素である。

 このエコシステムは、計算インフラ、汎用基盤モデル、領域特化モデル、そして最終的なアプリケーションという多層構造で実現される。そして、その成果物であるモデルウェイトなどは公開され、広く活用を促すことで、AIの社会浸透を加速させる方針とのことだ。

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 経済産業省の取り組みや、サイバーエージェントのような先進的事例から学べる教訓は、AIを道具ではなく「企業活動の中核」として捉え直すという点にある。渡辺氏は「AIは特定の部門や専門家だけが関わる技術ではなく、すべての組織が関わるもの。今後は『全員AI人材』『全社AI企業』を目指すべきだ」と語る。そのためにも、抜本的な組織変革やリスキリングのほか、現場データの有効活用が必要不可欠だ。

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

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