150人のIT人材をどう動かす?三井不動産が「AIエージェント」と「交換留学」で狙う組織の化学反応
第41回:三井不動産 執行役員 DX本部長 宇都宮幹子さん
「あなたは何がしたい?」上意下達のDX部門を自走できる組織に
酒井:2030年に向けた新グループDX方針「DX VISION 2030」を策定されました。その足掛かりとして、2026年に取り組みたいことは何ですか?
宇都宮:AIが普及して、この1年幾度となく痛感したのは、何かをやると決めても、進化のスピードが速く、途中で「それ意味あるんだっけ」となりかねないこと。だからこそ今やりたいのは、自走できる組織と人材を育てることです。究極を言えば、DX本部長がいらないDX本部を作りたいんです。AIがどうなろうが、未知のテクノロジーが出てこようが、私たちがやるべきは社会課題や事業課題の解決。その手段は、自分たちで導き出さなければなりません。
酒井:自走する組織を作るために、何が必要だと思いますか?
宇都宮:IT組織は想像以上に上意下達ですが、三井不動産のカルチャーは違います。「どうしたらいいですか?」はご法度。私も若手の頃から、あなたはどうしたいのかと問われてきました。「私はこれがやりたい。だから承認してくれ」──そのスタンスでいくんだと。間違っちゃいけない、失敗しちゃいけないという発想もよく分かります。でも、ダメだったら別のやり方を探ればいい。
まずは権限委譲。いちいちお伺いを立てなくても、自分たちで決められるようにする。グループを小さくし、自分で決めて、自分でやって、成果につなげる。その一連を実感してほしいです。

酒井:DX本部長がいらなくなった自走する組織で、宇都宮さんは何をしたいですか?
宇都宮:ITも不動産開発も、チームで仕事をします。チームで仕事して成果が出て、人の役に立ったり、楽しかったり、そういう思いをみんなが共有できる組織であり続けるために一緒に頑張ろうと鼓舞するのが私の仕事ですかね。それはAIにはできないので。
だから本当は、もうちょっと我慢してメンバーを見守りたいと思っています。実際は「あれやって、これやって」と指示しちゃうんですけどね(笑)。テクノロジーの進化が速すぎて見守っている時間がない。それが今のジレンマです。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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