150人のIT人材をどう動かす?三井不動産が「AIエージェント」と「交換留学」で狙う組織の化学反応
第41回:三井不動産 執行役員 DX本部長 宇都宮幹子さん
“女性初”として先陣を切ってこれたコツは「即レス」
酒井:宇都宮さんは、社内でいろんな「女性初」として先陣を切ってこられました。
宇都宮:昔はいろいろありました。会議で女性が私一人というのは日常でしたし、営業先で60代、70代の男性に説明する際に、受け入れられていないなと感じることもありました。でも、入り口が開くまでに時間がかかっただけで、信頼関係が築けたら、性別は関係なくなりました。
酒井:どうやって信頼を勝ち得てきたんですか?
宇都宮:聞かれたことは必ずすぐに返す。朝聞かれたら昼までに、昼に聞かれたら翌朝までに。そして、一つ多く返すこと。質問が一つでも二つ返す。その積み重ねです。
酒井:役員になられてからは、どんなことを意識されていますか?
宇都宮:自分がそこにいる意味です。例えば、男性だけの会議は予定調和になりがちで、反対意見も出にくい傾向があります。そこに異質な存在が入ることで、違う意見を投じるのが期待されているんだと。だから黙っちゃいけない。言うべきことはきちんと言います。
酒井:私がお世話になってきた女性リーダーの中に、反対意見を感情的に言う方がいました。だから頑張っているのに聞き入れられないんじゃないか、そんなあなたを見ているとこっちまで悔しい、と思ったことがありました。
宇都宮:私もつい強く言っちゃうタイプなので気をつけないといけない(笑)。私がとても尊敬している三井住友銀行 副頭取の工藤禎子さんは、すごくソフトなのに芯がある。彼女も「言い方には気をつける」とおっしゃっていました。私たちは言うことが目的じゃない。伝わって、行動してもらうことが目的。だから感情的に言っても絶対に届かないと。
酒井:リーダーを目指す方にメッセージはありますか?
宇都宮:IT業界は性別の差があまりない業界だと思います。それよりも今は世代間ギャップの方が大きいかもしれません。私はこれまでほぼ「Must」で仕事をしてきました。でも今の若者は「Will」が入口になる。何をやりたいか、どう成長したいか。そのギャップは常に感じます。
本人の意思を尊重するのは大事。自分はこうしたいとか、こうしてほしいと言える心理的安全性の高い組織にしたいです。でも仕事だから、期待されていることはやらなければいけない。たとえ今はやりたくない仕事でも、あなたにとって成長する機会だし、こちらは期待している。その思いを伝えることが、リーダーの大切な役割だと思います。
酒井:私は記者を目指していたら営業に配属され、そして情シスに異動して、WillとMustのギャップがすごくありました。情シスで女性は私1人。「事業部の人たちが話しかけやすいだろうから」と窓口役を任されたんです。それまで会社に何も貢献できてないなと思っていたのですが、それなら私にもできそうだから、ここから頑張ってみようと。
宇都宮:捉え方一つで全然違いますよね。「女性だからって、なんで窓口役なんだ」と思ったらそれまで。入り口はそうだったとしても、貢献できることをやってみる。そこから次のステップに行けるんだと思います。
三井不動産グループの第一園芸が手掛けた、約2,500輪もの深紅のバラを用いたフラワーアート
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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