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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

EnterpriseZine Press

SAPが描くAI時代の「クリーンコア」戦略──統合ツールチェーンで“攻めのIT”に機動性を加える

PoC止まりにさせない、AI実装の壁をFDEで支援

攻めのITには「クリーンコア」が必須に

──IT部門にとっては、価値創出だけでなく、日々のシステムの安定稼働も重要です。守りから攻めへの切り替えはどんなステップを踏めばいいでしょうか。

 まず何より、安定性は強みです。安定したシステム環境がなければ、イノベーションは生まれません。ですから、将来に向けてもシステムの安定性を確保し続ける必要があります。クラウド環境でお客さまがシステムを運用する場合、SAPが安定性を確保する責任を負い、お客さまのイノベーションのためのリソースを確保できるようにします。

 それと同時に、アジリティも重要です。なぜならば、今日の難しいビジネス課題を迅速に解決することが求められているからです。たとえば、サプライチェーンへの影響を考えてみましょう。仕入先が原材料を供給できなくなった場合、ビジネス継続性が危機に瀕します。

 迅速な対応のためには、それができる環境を整えなくてはなりません。だからこそ、アドオンやカスタマイズを極力減らす「クリーンコア」が大事なのです。クリーンコアで、AIをより簡単に組み込むことができ、運用上の複雑さ軽減できます。現在、多くのお客さまがオンプレミスからクラウドへの移行に取り組んでいますが、過度なカスタマイズを排除し、クリーンコアにすることで、前述のようなサプライチェーンの課題にも迅速に対処できるようになります。

──クリーンコアのために、統合ツールチェーンはどんな役割を果たしていますか。

 非常に重要です。SAPが行ってきたことは、お客さまがより迅速に変革できるよう、様々なソリューションに投資してきたことです。SAPは、プロセスモデリングの「Signavio」、エンタープライズアーキテクチャー管理の「Lean IX」、デジタルアダプションの「WalkMe」を1つのツールチェーンに統合し、クリーンコアを確保できるようにしました。

 Signavioを使うと、お客さまが運用中のビジネスプロセスとSAPのベストプラクティスと比較し、標準化することに役立ちます。Lean IXを使えば、アプリケーションのインベントリーを作成し、利用頻度の低いアプリケーションを特定し、アプリケーション環境の標準化やコスト削減を実現できます。WalkMeは、SAPアプリケーション利用におけるガイダンスを提供するもので、より迅速な組織への定着が可能になります。すべてのソリューションを統合することで、エンドツーエンドのプロセスフローを実現できるのがSAPの強みです。

画像を説明するテキストなくても可

──2026年3月にSAP Service & Supportポートフォリオを刷新しました。これまでの提供内容との違い、今回の刷新での強化ポイントについて聞かせてください。

 オンプレミス時代の保守サポートでは、お客さまのITインフラ全体の運用に支援の重点を置いていました。しかし、クラウドでは、運用業務の多くを担うのはプロバイダーですから、SAPもポートフォリオを進化させる必要があります。

 今回の転換点は、システム運用を中心とした受け身のサポートモデルから、よりプロアクティブでライフサイクルベースのアプローチへと進化したことです。

 そこで、「ビジネス変革の加速」「AIの深い統合」「ツールと専門知識」の3つに焦点を当て、保守サポートのサービス内容を刷新しました。新ポートフォリオでは3つのプランを用意しています。カスタマーサクセスのための計画と方法論を網羅しており、3月3日から世界同時に利用可能になりました。

──最後の質問です。AI時代を迎えて、CIOが求められる役割は今後どのように変化していくと考えていますか。

 私たちは、CIOはすべてのCEOのビジネスパートナーとなるべきだと考えています。なぜならば、テクノロジーはビジネスパフォーマンス向上を可能にするからです。従来、CIOはシステムの安定性や信頼性に基づいて評価されてきました。しかし、これからは企業の業績や生産性への直接貢献が求められるように変わるでしょう。AI時代におけるCIOのプロファイルは、より業績重視型であるべきです。AIを活用して業績を向上させる方法を理解し、最終的にはあらゆる企業戦略の意思決定にも関与するようになるでしょう。それはテクノロジーが企業の戦略的意思決定を牽引するようになるからです。

──ありがとうございました。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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