なぜセールスフォースはHeadless 360を発表したのか?AIに中抜きされないSaaSの生存戦略
ヘッドレスアーキテクチャー・Hosted MCP・料金モデル見直し、3つの変革の真意
「会話」単位から「アクション」単位へ、進化するAgentforceの料金モデル
「SaaS is Dead」論に対抗するかのようにAgentforceの強化を進めるセールスフォースであるが、料金モデルについてもAgentforceの登場から見直しに取り組んでいる。
Agentforceの料金モデルは大きく2つに分かれる。1つは、外部の顧客向けのエージェントを利用する場合で、従量制のモデルが基本になる。2024年秋のAgentforceを発表当初は、主にカスタマーサポートのユースケースに注力していたこともあり、「会話」単位の従量制の料金モデルを採用していた。ここでの会話1回は、24時間のタイムフレームと定義しており、顧客にはまとまった回数の会話クレジットを購入してもらう。このモデルでスタートしたものの、運用中に問題に気づく。それは最初の挨拶や世間話までが「会話」の一部として、課金対象になってしまうことだった。
見直しの結果、現在は「注文情報を提供する」「配送情報を変更する」などのアクション単位で、事前購入したクレジットを消費するFlex Creditと呼ばれる消費ベースの料金モデルを中心に展開している。「Flex」とあるのは、Agentforceだけでなく、Data 360の利用にも流用できるようにしているためだ。Data 360ではAgentforceとは異なるアクション単位で料金モデルを提供しているが、双方のクレジットを融通できる柔軟性を持たせた。ただし、Flex Creditですべてを賄えるわけではない。たとえば、前述したHosted MCP Serversでは、Flex Creditではなく、APIコールの消費ベースの料金体系を採用しており、LLM、エージェント、Data 360が稼働する時、クレジットを1つ消費する計算になる。気になるのが、Flex Creditを選んだ場合、青天井の請求が来るかもしれないことだ。その懸念を払拭するべく、セールスフォースでは、導入前に担当営業が相手企業と共にROI算出を含む利用計画を策定するようにしている。さらに導入後も、デジタルウォレットを共有し、将来予測をしながら、料金面でのフォローを提供している。
一方、組織内の利用にとどまるユースケースには、アクション単位の料金モデルは適用されない。従業員向けのエージェントの利用にアクション単位の消費ベースの料金を採用すると、かえって活用のブレーキをかけることになる懸念があるためだ。そこで、Sales CloudやService Cloudのユーザーには、シートライセンスを基本とし、Agentforceのアドオン料金を支払うハイブリッドモデルを適用している。
社外向けと社内向け、どちらの場合も、シートライセンスのみの頃と比べると、料金モデルが複雑になったように見えるが、テクノロジーの進化に対応するための措置であり、ネガティブな変化とは言えない。テクノロジーが変われば、顧客のユースケースもよりクリエイティブに変わる。セールスフォースとしても顧客との対話を続け、より合理性の高い料金モデルでの提供ができるよう、今も模索を続けている。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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