政策論争を身近に感じさせるネット中継
新政権に入ってネットで積極的に情報を発信し、また逆にネットから国民の声を吸い上げる試みが増えている。例えば、行政刷新会議の事業仕分けや総務省のICTタスクフォースなど、新政権によって設立されて脚光を浴びた会議体のいくつかはUstreamで中継され、Twitterで実況されるようになった。
政策形成過程のネット中継は政策論争を身近に感じさせ、解くべき課題や争点を明確にする上で効果的ではある。こういった中継に多くのアクセスが集まる背景として、利害関係者からみて情報の入手が容易になっただけでなく、広く国民の間でマスメディアの論調を通じて間接的に知る議論よりも、当事者の直接の声を聞きたいという根強いニーズはあるのだろう。
また、経済産業省のアイデアボックスや、筆者も懇談会委員として運営に協力している文部科学省の熟議など、広く国民から意見を募集し、さらに討議するための場も増えている。書き込まれた意見がどのように政策へとフィードバックされるかはこれからではあるが、いくつかのメッセージには返信がつくなど、これまでより政策担当者が身近に感じられたのではないか。
ネットを通じた政治参画はオープンガバメントともいわれ、ネットが普及して以来、世界各国で試みられてきた。米国のオバマ政権は選挙の段階からネットを駆使し、政権移行後もネットをうまく活用しているといわれる。しかし日本だけでなく海外でも試行錯誤の段階にあり、運用での試行錯誤を通じて、有効な活用方法が探られる一方で、課題も浮き彫りとなりつつある。(次ページへ続く)