Splunkの幹部に訊く、Ciscoとのシナジーで狙う世界──AI時代が進んだ先の「可観測性」は新たな意義を持つ
Splunk カマル・ハティ氏:Splunkは「リアルタイム制御」のコアを支える存在になる
Mythosの出現で「オブザーバビリティ」の意義はどう変わる?
──Mythosの出現によって、Splunkのテクノロジーの重要性や、そのテクノロジーが果たす役割に変化は生じるでしょうか。
ハティ氏:MythosのようなフロンティアAIを前提とする場合、Splunkとしてもいくつかやらねばならないことがあります。
まずは、エンドポイント、AIエージェント、アイデンティティにわたり、「エンティティの正体は何で、どこで何をしているのか」を可能な限り迅速に制御できるようにすることです。いわゆるリアルタイム制御ですね。この問題については、CiscoやGalileoとの技術の組み合わせで対応を進めています。
次に、「混乱や侵害は絶え間なく続くものだ」という前提を持つことです。つまり、エンティティの正体を特定することはもちろん大切なのですが、「特定をする間もなくエンティティが侵害や攻撃、異常行動をしつづける」という認識を持つことも必要だということです。となると、正体不明であったとしてもその異常行動を特定し、対処ができる能力を実装しなければいけません。
Splunkはデータの相関付けやパターン調査を得意としているため、この監視能力を提供するという点については大きな優位性があります。もちろん、監視や制御を自律化するエージェント型ソリューションも既に有しているため、ユーザーはマシンスピードで対応できます。
──では、今後1年間で注力していく技術開発分野や、ハティさんが個人的に解決したいと考えている課題があれば教えていただけますか。
ハティ氏:私たちは今、AIエージェントのライフサイクル全体を管理するシステム・オブ・レコード(SoR)を提供しようと、さらなる開発を進めています。AIエージェントが安全かつ監視可能な環境下で成果を出し続けるためには、エンドツーエンド(E2E)のオブザーバビリティが必要です。今年のCisco Live!で発表したCisco Cloud Controlにも、まさにそうした機能も含まれていますね。しかし、製品のリリースは出発点に過ぎず、これからさらに機能強化を図っていくつもりです。
加えて、ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human in the Loop)の下で、可能な限り自律性を提供できる限界にも挑戦しています。自律型SOC、自律型SOAR、さらにはSplunk製品そのもののユーザー体験、データパイプラインなど、あらゆるものを出来る限り自律化しているところです。その中でも、いかに人間のオペレーターが必要なときに制御を引き継ぎ、状況をすぐに把握できるか……。これを体現する機能を実装しています。
エッジでの制御・オブザーバビリティが問われる時代が迫る
──最後に、もしハティさんの個人的な興味関心や、昨今の世の中のテクノロジー動向を見て思うことがあれば教えてください。
ハティ氏:一つは、世界中で「もっとAIが大規模に、当たり前に使われる時代が到来したときに何が起こるのか」をいつも考えています。一つの企業の中で数千、数万のAIエージェントが稼働し、公共サービスや国のあらゆるインフラの中でもAIエージェントが動き回るとなると、そこで必要となる制御、セキュリティ、オブザーバビリティの要件も、また違うものになると思います。
AIを大規模かつ実用的に運用するということは、世間が考えるよりもずっと大きなチャレンジになります。そしてCiscoやSplunkは、その解決策を具現化し提供する中心に位置する企業だと考えています。
そしてもう一つ、先ほどリアルタイム制御の話がありましたが、「いったいどれだけの負荷がエッジに押し寄せるのか」に関心を寄せています。仮に数百万のAIエージェントが稼働するとなった場合、リアルタイムでそれらすべてを制御するにはどうすればよいのか。間違いなく、ネットワークのエッジでどれだけ処理できるかが勝負になるでしょう。Ciscoのスイッチやシリコンが活きる分野ですね。
Splunkとしても、Ciscoとともに制御やオブザーバビリティをどんどんエッジへ移行させていかなければなりません。エッジは小さな一要素ではなく、ネットワークにおける重要な役割を担う領域となるでしょう。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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