2026年のソフトウェア開発を激変させる「6大トレンド」──コード実装が焦点ではない時代に突入
脱中心化するIDEから顧客常駐型エンジニアFDEまで ガートナーが示すAI時代の生存戦略
確率論的なLLMに対抗する、AIアプリ開発の新たなテスト手法
残りの2つのトレンドは、AIアプリケーション開発に焦点を当てたものになる。5つ目のトレンド「評価駆動開発(EDD)」は、テスト駆動開発の原則をAIアプリケーション開発に組み込むアプローチを指す。LLMの問題は、確率論的にしか動けないことだ。アイデアをAIアプリケーションに反映させたいと考えたとする。ところが、それが確実に反映されたかは、テストしてからでないとわからない。それでは困る。AIアプリケーションの開発に限った話ではないが、評価後に足りないとわかったことを追加するのは難しい。ならば、意図したようにAIアプリケーションが動作するか、品質管理のために評価をプロセスの中に戦略的に組み込んでおく。そのアプローチがEDDである。
図2:確率論的に動作するLLM、同じプロンプトでも同じ結果にならない
出典:Gartner(2026年6月)
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最初にどんなテストが必要かを考える。適切なデータセットでAIアプリケーションをテストする。出力結果も継続的に評価する。このような能動的なアプローチでEDDを進めることで、AIアプリケーション特有の確率論的なリスクを緩和できる。悩ましいのは、従来のようなテスト手法が使えないこと。確率論的な出力の問題は、従来型のテストツールでは検証できない。この新しいニーズに対して、AI Evaluation & Observability Toolsと呼ばれる新しい製品分野に、新しいベンダーの参入が始まっている。EDDを実践する場合は、専用の開発環境への投資が必要になるだろう。
また、「ガバナンスとポリシーの観点で、評価を完了定義の一部に組み込む必要がある」とヘルシュマン氏は訴える。テストで評価が終わってなければ、次に進めないようにする。今日良かったものが明日も良いとは限らない。AIアプリケーション開発には特有の難しさがある。
最近よく聞く「FDE」はこれまでのエンジニアと何が違うのか?
最後6つ目のトレンドが、パランティアが採用していることで有名な「フォワードデプロイドエンジニア(FDE)」である。FDEはクライアントの組織に常駐し、ドメインエキスパートとしての役割も担いつつ、AIアプリケーション開発の仕様に落とし込む高い専門知識と実装スキルを持つエンジニアである。
FDEと通常のエンジニアとの違いはどこにあるか。パランティアの場合、FDEが特定の顧客の技術成果にコミットするのに対し、複数の顧客に向けての汎用的な機能開発に携わるのはプロダクトエンジニアと役割が明確に分かれている。ヘルシュマン氏は、「最大の違いは、常駐先で得た知見をベンダー側の今後の製品開発に活かすことはないこと。クライアントと共に“仕様”を作成することを第一義にしているのがFDE」と解説した。
どんなテクノロジー実装でも、クライアント企業のユースケースの最適化を念頭に入れて行うものだが、AIアプリケーション開発では、仕様をより洗練させる部分での活躍をクライアントから期待される。そのため、上流フェーズの価値探索には非常に時間がかかる。常駐先のハンズオンエンジニアとして、FDEはクライアントに「動くもの」の提供を通じて、価値実現までの時間の短縮に貢献する。ただし、クライアントのドメインエキスパートとの協働がうまくいかない可能性、成果が出た後のクライアントの独り立ちがうまくいかない可能性は、リスクとして認識しておきたい。
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今回紹介した6つは、いずれも今後の企業のビジネス変革に重要な役割を担うものばかりだ。変化をうまく活用するためにも、これらのトレンドを理解することから始めてほしい。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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