稟議突破から“えこひいき”による定着まで──製造/不動産/老舗香料の3社が明かす「Box徹底活用術」
単なるファイルサーバー移行ではない! AI&セキュリティ対策を見据えた“全方位対策”
マキタは意欲のある人を“優遇” 現場発のカイゼンで活用進む
導入したBoxを社内に定着させる方法もそれぞれの工夫がある。
マキタは、種をまく「仕掛け」、芽が出る「兆し」、そして根づく「安定」までの3段階で考えた。仕掛けの一つが、“意図的なえこひいき”だ。各部門に担当窓口を任命する一方で、意欲の高い部署を先行ユーザーとして優先的に支援した。
「最初の一歩がなかなか踏み出せないのは、Boxがどう役立つかイメージしにくいから。やりたいことがある人に先に成果を上げてもらえれば、周囲が『どうやったの?』と興味を持ち、真似する動きが生まれると考えました」(高山氏)
次の段階の「兆し」は、ワークフロー機能Box Relay(現Box Automate)のフロー名に表れた。当初は「テスト」だったフロー名が、少しずつ実際の業務名に変わっていったのだ。
今では現場での活用が自主的に進んでいる状況だという。実際、例示された6つのうち半分は現場発の取り組みだ。製造業に根づく業務改善の手段として、「Boxのこの機能を使えばいいのでは」と現場が自然に活用しているという。加えて、社内での情シスへ相談しやすい関係性と環境もそれを支える。距離感の近さと声掛けの気軽さが、事例を生み出す原動力になっている。
マキタは、Boxをデータ基盤の入り口としても活用している。Box内の特定フォルダに保存することで、対象ファイルをAWS上の中央データ基盤に自動で連携。PDFや画像などの非構造化データも、画像に適したAIでテキスト化してから取り込むことができる。もちろん、現場作業者がスマホで撮影した写真を直接Boxに取り込み、即時関係者で共有するといったシンプルな使い方も浸透している。
社外コラボレーションの効果も大きい。「初めて使うクラウドサービスが、マキタに招待されたBoxだった」という取引先も少なくないそうだ。中には、メールとFAXのやり取りからBoxに完全移行した会社もあるという。
「やきとりまでやった?」を合言葉に、塩野香料は半年で97%定着
塩野香料では導入から半年ほどで、社員の97%が毎日Boxを使うようになった。製造現場にはパソコンに触れる機会が少ない社員もいるので、かなり高い浸透率だ。
「あれだけ効果があると言って稟議を通したので、使われなかったら困ります。まずはBoxがないと仕事が回らない状態を作ろうと考えました」(枝木氏)
ファイルサーバーの廃止時期を区切って移行を促す一方で、迷わない設計にこだわった。最上位フォルダは、社外共有用のほかに、社内向けに個人用/非公開の共有フォルダ/部門の共有フォルダの4種類だけ。誰と共有するかを考えれば、置き場所が決まる。活用ステップは、たまご(ログイン)からひよこ(ボタン操作)、にわとり(ファイル操作)、やきとり(共有)へと成長する手描きイラストで示し、「やきとりまでやった?」が社内の合言葉になった。
掲示板や週報での発信は50回を超え、ハンズオンの社内勉強会には毎回50名以上が参加。定期の「なんでも相談会」で悩みを聞き、「それならBox Signがありますよ」など具体的な提案を重ねてきたという。
2社の話を受けて柏崎氏は、定着を左右するのは「抵抗の除去」だとまとめた。「導入時は『生産性が上がる』『容量無制限』などをアピールしますが、『本当に使っていいのだろうか』というためらいを取り除いている会社は意外と少ない気がします」と柏崎氏。東急コミュニティーも利用は強制せず、手を挙げた部署にはMicrosoft Teamsのオンライン会議を用意し、柏崎氏も参加して気軽に相談できる場にしている。
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古屋 江美子(フルヤ エミコ)
フリーランスライター。大阪大学基礎工学部卒。大手通信会社の情報システム部に約6年勤務し、顧客管理システムの運用・開発に従事したのち、ライターへ転身。IT・旅行・グルメを中心に、さまざまな媒体や企業サイトで執筆しています。Webサイト:https://emikofuruya.com
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社Box Japan
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