グループウェアの設計思想は古いのか?
クラウド上での「コミュニケーション」、「コラボレーション」というテーマを調べていた時のこと、セールスフォース社の企業向けコラボレーションツール「Salesforce Chatter」を眺めていて浮かんできた疑問がある。「この製品は、どこにカテゴライズするとしっくりくるものだろう?」ということだ。
Salesforce Chatterを定義すると、クラウド環境(SaaS環境)で動くSNS型のグループウェアとでもなるだろうか。ソーシャルメディアとの連携が意識されているあたりが今風のサービスだ。
現在のグループウェア市場の環境要件と経緯を簡単に整理すると、(1)ファイルベースでの社内情報整理に特徴を見出せるLotus Notesのようなソフトウェア、(2)スケジューラーを軸として認知されているもの、国内だとサイボウズが筆頭だろう、が典型カテゴリーとしてあり、(3)ここに2000年前後のナレッジマネジメントブームに代表される組織生産性、知識財産管理といったプロセスマネジメント的な視点を加えると、グループウェア製品のカテゴリーは概ねカバーできる。
その後のインターネットサービスの普及から、各種のコミュニケーションツールがヒューマンネットワークの管理サービスとしてSNSという形に帰結した。SNSの一般普及は、階層型ではないリゾーム(根茎)型のネットワーク管理が面白く、便利であるということを一般認知させることとなった。
こうした状況において、コンシューマー向けの便利で楽しいSNSに比して、組織分類整理がどうしても軸となりがちな法人向けのグループウェアの設計思想は、もうお洒落じゃないのでは、という考え方を呼び起こすこととなる。「なんかグループウェアって古いよね」という言い方は、この認識の変化に拠るところであろう。
当初は、あくまでコンシューマーサービスだと思われていたSNSであるが、LinkedInのようなビジネス用途に特化したサービスが出てきたり、Twitter上でもビジネス的な使い方をする場面が増えてきたりと特にこだわりや縛りを設けることなく、便利だったらあれこれ使いまわしていいよね、という展開となっている。筆者にしてもTwitterは、ビジネスツールなのか個人ツールなのかもはやよく分からない状態にある。
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