創業50年超のアシストが描く製品提供の「その先」 既存資産を殺さないSoR/SoIの現実解とは
AI活用を成功に導く「データ基盤の本質」とアシストの伴走戦略
生成AIやAIエージェントの急速な普及により、企業のデータを取り巻く環境は大きく変化している。多くの企業がAIツールの導入やPoC(概念実証)を進める一方で、業務に定着しない、あるいは社内データの分散により十分な精度を発揮できないといった課題も顕在化してきた。こうした状況から「データ基盤の整備がAI活用の成否を左右する」という認識が広がっている。では、企業はどのようなデータ基盤を整備すべきなのか。本稿では、アシスト 岸和田隆氏への取材を通じて、製品の導入支援にとどまらないコンサルティングパートナーへと進化する同社の取り組みと、次世代のデータアーキテクチャの方向性を探る。
AI活用の潮流 企業が直面する「データ基盤」の壁とは
昨今の生成AIやAIエージェントに対する注目の高まりは、ビジネスの現場におけるデータの価値や管理手法を見直す契機となっている。また、多くの企業がAIを活用した業務効率化や新規ビジネスの創出を模索しているものの、成果に結びつくまでの道のりは決して容易くない。AIツールを購入して社内展開しただけで業務改革が進むわけではなく、その土台となるデータ基盤が適切に整備されているかどうかが成否を左右することが明らかになってきているからだ。
どのようなデータをどこから収集し、どのような形式で蓄積してAIに引き渡すのか──大局的な観点でのアーキテクチャが欠けていれば、AI活用は一部のITリテラシーの高いユーザーによる局所的な試みにとどまってしまう。
また、AI時代における企業データの活用は、決して一様ではない点にも注意が必要である。すべての従業員が自然言語でプロンプトを入力し、AIと対話しながら解を導き出すスタイルだけが唯一の正解ではない。試行錯誤を繰り返しながら高度な分析を行うデータサイエンティストや企画職のユーザーが存在する一方、日常業務において素早く意思決定を行いたい営業担当者や拠点マネージャーからは、自らの担当領域に関するデータがわかりやすく可視化されている状態が求められる場合も多い。
つまり、プロンプトによる対話型のAI活用、BIなどを活用したダッシュボード型の可視化という両方のスタイルに柔軟かつ迅速に対応できる、堅牢なデータ基盤が不可欠となる。
とはいえ、多くの企業では長年のシステム拡張にともない、オンプレミスの基幹システムやSaaS、部門ごとに管理されたファイルサーバーなどにデータが分散している。これらをどのように安全に連携させ、BIやAIツールで容易に扱える形へと変換・整理していくのかという「前処理」の壁が立ちはだかる。岸和田隆氏は、「AIを導入すれば、魔法のように業務が変わるわけではない。実際には、データ側に存在する課題に直面する。だからこそ、既存のデータ基盤や業務プロセスを力任せに壊すのではなく、分散した膨大なデータをいかに安全に連携し、ビジネス価値の高いものへと変換していくかが問われている」と述べる。
「守り」と「攻め」を分けるSoR/SoI分離の本質
データ基盤を設計する上で重要となるのは、データの役割や要求水準に応じて、アーキテクチャを分離する考え方だ。
具体的には、決算や規制対応といった基幹システムからのレポーティングが欠かせない、厳格な正確性と統制が求められる“守り”の領域「SoR(System of Record)」と、探索や実験などのスピードが重視される、分析・AI用途にあたる“攻め”の領域「SoI(System of Insight)」を切り分けるアプローチだ。
特に、基幹システムの刷新やクラウド移行といったプロジェクトでは、画面作成やレポート出力といった要件が後回しにされがちである。その結果、新システム稼働後に必要なデータを取得できず、現場業務が停滞するといった問題が生じるケースも少なくない。こうした事態を避けるためには、まず基幹システムと同等の安定性とガバナンスを備えたSoR領域のデータ基盤を整備し、業務継続性を担保することが前提となる。
一方、SoI領域ではセルフサービスBIに加え、日報や応対記録といった非構造化データを取り込んだAI活用が求められる。SoRとSoIの役割を曖昧にせずに切り分けることで、基幹データの正確性とガバナンスを維持しながら、アジリティの高い“AI活用基盤”を安全に構築可能だ。データ基盤を全面的に刷新して一本化するという発想ではなく、それぞれの強みや目的に応じて共存させるという現実的なアプローチといえるだろう。
こうした分離アーキテクチャは、実装の自由度が高い点も重要となる。SoRとSoIの分離は、必ずしも物理的に異なるデータベースを用意することを意味しない。企業の規模や既存資産によっては、単一のデータベースでスキーマやアクセス権限を論理的に分割することで、同様の設計思想を実現できるからだ。岸和田氏は、「守りと攻めを分けるような考え方は、二重管理によってシステムを無駄に複雑化させるものではありません。既存のデータ資産を最大限に活かしながら、安全かつ着実にデータ活用を高度化していくための合理的なアプローチです」と語る。

AIの精度を高めたいユーザー 関心高まる「セマンティックレイヤー」
AI-Readyなデータ基盤を実現する上で鍵となるのは、「セマンティックレイヤー」の追加である。構造化データや非構造化データを集約し、生成AIから参照できるようにするだけでは、業務で使える高精度なアウトプットを得にくい。データが生まれたビジネス上の背景やデータ同士の関係性、さらには権限やガバナンスといった文脈(コンテキスト)が付与されていなければ、AIが誤った解釈やハルシネーションを引き起こすためだ。
セマンティックレイヤーは、データ基盤とAIツールの間に位置し、データに「意味・関係・権限」を与える役割を担う。既存基盤を全面改修するのではなく、その上に重ねる形で導入することで、現実的なコストと期間を以ってAI活用を前進させられると注目が高まっている。たとえば、「売上」というビジネス指標がどのテーブルのどの項目から計算されるのか、どの部門のデータを含めるのか、といった定義や関係性をセマンティックレイヤーに統一的な形でもたせるようなイメージだ。ビジネス用語の定義を標準化することで、システム間におけるデータの紐付けを文脈として保持する。これにより、AIの推論精度が向上するだけでなく、業務ユーザーによる分析の一貫性も高まる効果が期待できる。
ただし、こうしたアーキテクチャがすべての企業にとって正解とは限らない。「どこまでを全社共通基盤として統制し、どこを現場に委ねるのかという判断は、単なる技術論ではありません。本質的には組織の権限設計や意思決定のあり方に関わる問題であり、経営層を巻き込んだ設計が不可欠だからです」と岸和田氏。事業特性や組織構造、データ活用の成熟度は企業ごとに大きく異なる。それ故にポイントソリューションで容易に解決することができず、“超上流”ともいえる工程からの設計が重要となる。そして、その課題に向き合うのはユーザーだけでなく、ベンダー側も同様だ。
創業50年超のアシストによる「脱・製品ベンダー」への転換 なぜAI時代に自社変革を進めるのか
先述したデータ課題の高度化、アーキテクチャ設計・構築におけるニーズの変容を受け、ベンダーとしての役割を再定義しているのがアシストである。同社はこれまで、データベースやBIツール、データ連携ソフトウェアといった製品の提案・導入支援において信頼と実績を築いてきた。
しかし、企業のデータやAIの活用ニーズが複雑化する中、個々の製品導入だけでは本質的な課題解決に至らないケースが増えている。この変化に対応するため、アシストは顧客のニーズを包括的に捉え、グランドデザインに基づいたアーキテクチャを描くための組織体制へと変革を推し進めている。
ここでユニークなのは、アシストが受託開発を中心とした総花的なSIerを志向しているわけではない点だ。豊富な製品知見、導入現場で培ってきた実装ノウハウを土台として、実現性の低い理想論ではなく、地に足の着いた現実解を提示していく。
既にアシストでは、長年の実績から導き出されたデータ活用基盤における構築の「型」や標準フレームワークを社内に体系化している。これにより、プロジェクトごとの場当たり的な検討を避けつつ、検証済みのアーキテクチャをベースにしながらも、顧客固有のシステム環境やビジネス制約に応じて柔軟にアーキテクチャを最適化する手法を確立している。岸和田氏は、「われわれは、単にテクノロジーや製品を提供する存在ではありません。お客様がビジネスで勝ちつづけるためのデータ戦略に伴走し、ともに最適なロードマップを描き切るアーキテクトでありたいのです」と強調する。
アシスト独自のアプローチ 3つの要素と教育支援
アシストが提示するデータ基盤のアプローチは、単なる設計やシステム構築にとどまらない。同社の強みは、AI活用を支える3つのコア領域を包括的にカバーしている点にある。
第一に、蓄積データを可視化・分析し、予測まで含めてビジネス価値を引き出す「データ活用(BI/AI)」の領域。第二に、基幹システムやクラウド、オンプレミスなどに分散するデータを収集・統合し、品質と鮮度を維持する「データ連携」の領域。そして第三は、業務マニュアルや応対履歴、提案書、議事録といった非構造化データを整理・構造化し、生成AIやRAGでの活用を可能にする「ナレッジ活用」の領域である。
これら3領域は、先述したSoR/SoIの分離やセマンティックレイヤーといったアーキテクチャ設計を実運用につなげる役割を担っており、これらを一体的に提供できることがアシストの大きな強みだ。
「BIやAIの活用は、大抵の場合『せっかく基盤や環境を作ったのに現場に広がらない、使われない』という壁にぶつかります。だからこそ、アシストでは単なる技術や製品のデリバリーで終わらせるのではなく、最初のテーマ策定からデータの連携、そして現場で使いこなす人材の育成まで、一貫した『データ活用のストーリー』として包括的に伴走できる体制を整えているのです」(岸和田氏)
どれほど先進的なデータ基盤やAI環境を構築しても、現場で使われなければ投資対効果は生まれない。アシストでは、インフラやソフトウェアの構築支援に加え、AI・データ活用の定着化を見据えた教育支援やリテラシー向上プログラムも提供している。これにより、業務課題を「データ課題」へと翻訳できる人材を育成し、データに基づく意思決定が根付く組織づくりまでをサポートするという。
まさにAI時代の到来は企業に「ツールの選定」ではなく、「データ基盤と組織のあり方」の抜本的な見直しを迫っている。既存の資産を守りながら、いかに攻めのAI活用へとつなげていくか。その道のりは決して平坦ではないからこそ、単なる製品の提供にとどまらず、データ連携から活用、そして現場の定着化まで一貫して寄り添い、リードしてくれるアーキテクトの存在が不可欠だ。創業から半世紀にわたり企業のデータ活用を支えつづけてきたアシストは、これからも地に足の着いた現実解とともに、企業が「データで勝ちつづけるためのストーリー」をともに描いていく。

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提供:株式会社アシスト
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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