レクシスネクシス・ジャパンは9月2日、APACにおける10市場の法務プロフェッショナルを対象とした意識調査の日本市場レポートに関するメディアラウンドテーブルを開催した。
今回の調査はAPAC全体の1,715名、うち日本市場の211名から回答を得たもの。調査期間は2026年5月22日から6月29日までの約1ヵ月で、オンラインで実施された。日本の回答者の88.2%が企業所属であるため、調査結果には主に法務サービスを依頼する企業側の視点が強く反映されているという。
ラウンドテーブルに参加した同社 コンテンツソリューション責任者 漆崎貴之氏は、日本における法務担当者のAI利用率が88.6%に達し、汎用AI利用者のうち66.1%が毎日利用しているというデータを示した。これは同調査の対象市場において最も高い利用率だという。
一方で、法務業務に特化したリーガル特化型AIの利用率は39.3%にとどまり、APAC平均(46.2%)を下回っている。この結果について漆崎氏は、汎用AIが事務的な文書作成や要約、翻訳といった業務で定着している反面、法的判断の近くで使われる特化型AIの普及にはまだ余地があることを説明した。業務の効率化に向けてAIを積極的に活用する姿勢が見られるものの、その利用目的には偏りが存在していることが見て取れる。
また調査では、日本の法務部門がAI活用において抱える最も大きな課題として、ツール間の連携不足が明らかになった。これを課題として挙げた回答者は50.2%に上り、対象市場の中で最も高い数値だという。これについて漆崎氏は、「積極的にツールは使っているものの、会社全体で1つのプラットフォームにはなっていない」と指摘。メールソフトや顧客管理ツール、人事ツールなど、主管部門が異なる様々なシステムが混在しているため、重複作業や情報検索の困難さが発生しており、既存のツールを法務業務の中でいかに統合させるかがハードルになっていると述べる。
AI導入にともなう懸念事項については、AIが生成する情報の正確性やハルシネーションのリスクを懸念する回答が59.2%で最多となった。一方で、機密性やデータセキュリティへの懸念は46.0%とAPAC平均を下回っているものの、「正確性の問題をより重大視している結果だ」と漆崎氏は分析する。
また、企業が法律事務所に求める役割について、日本の回答者の63.0%が法律事務所に「専門性」を期待しており、APAC平均の43.6%を上回る結果となった。AIの利用によって時間の余裕が生まれたとしても、法律業務の正確性という点ではまだ自信が持てない層が多いと指摘する。
こうした連携不足の課題や正確性への懸念を解決するための取り組みとして、同氏は業務フロー全体をサポートするシステムの必要性を強調した。単発のプロンプトでAIを利用するのではなく、ガイド付きワークフローとして提供された場合にAIを利用する可能性が高いと答えた割合は70.6%に達している。漆崎氏は「定型化される部分をいかにシステマチックに標準化していくかが重要である」と述べ、一連の作業をAIのガイドのもとで統合していく流れに期待を示した。
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