保守切れRHEL約200サーバを「そのまま」使い続ける──みずほ銀行がSUSE MLSを“戦略的ブリッジ”に選んだ理由
「SUSE Summit Tokyo」レポート
仮想サーバ2,500台の共通基盤──OS更改は「雪だるま式」に膨らむ
みずほ銀行は、みずほ信託銀行、みずほ証券とともにみずほフィナンシャルグループの中核を担う。個人口座の開設数は日本人の約5人に1人に相当し、スタートアップ企業約5,300社、国内上場企業の80%と取引を持つ。海外も33ヵ国・107拠点のネットワークを展開する。それだけに取引ボリュームは非常に多く、「信頼性、安全性が求められる基盤を維持することが我々のミッション」と森氏は言う。
同行は業務・用途ごとに共通基盤を用意している。最も信頼性が求められる領域は「勘定系共通基盤」、インターネットバンキングなどは「対顧チャネル系共通基盤」としてまとめ、後者ではSUSEのLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」を10年以上稼働させてきた実績がある。この縁も今回のMLS導入の背景にあるという。このほかにもAIX系オンプレミスサーバの共通基盤や、AWS・Google Cloudを用いる共通基盤など、複数の基盤を使い分けている。
MLSを導入したのは、VMwareを用いた仮想化基盤で構築された「IA系オンプレミスサーバ」の共通基盤だ。規模は仮想サーバ約2,500台・160システムにのぼり、このうち保守期限を迎えるRHEL 7.8以下の約200サーバ・20システムがMLSの対象となった。
現在同行は、コンテナを中心に、DevSecOpsやCI/CDといった開発自動化基盤を備えた「次世代共通プラットフォーム」を構築し、レガシー基盤のモダナイゼーションを進めている最中だ。「まさに始まったばかりだが、ここへ経営資源やリソースを投下していこうというモードに入っている」と森氏。ただ、この移行の裏側で解消すべき課題があった。OS保守期限にともなうOS更改対応である。
これまで同行では、保守期限内のOS更改を原則としてきた。だが、「リソース不足やコスト不足といった様々な阻害要因があり、なかなかスケジュール通りに更改が進まないという実情があった」と森氏は明かす。皆様の中にも同様の課題を感じている方がいるのではないか──こう会場に問いかけつつ、「当行もそれに漏れず、こうした実情を抱えていた」と率直に認めた。
転機となったのは、脆弱性をめぐる環境の変化だ。「昨今の脆弱性の脅威の高まりを受けて、マインドチェンジが確実に起こってきた。現在は『常にパッチ提供を受けられる状態にしておき、脆弱性を放置しない』というマインドを、明確に行内で共有できている」と同氏。もっとも、マインドが変わればすぐに動けるというものでもない。森氏はこのように続けた。「では具体的にどう対応するのかという段階では、OS更改やモダナイゼーションにすぐ手がつけられるわけではなく、非常に困っていたという事実があった」
だが、具体的にどう対応するかという段階で壁に突き当たる。OS更改ではOS単体だけでなく、ソフトウェアやミドルウェアの更改も必要になり、関連システムにも影響が及ぶ。「特に銀行は関連システムが多いため、雪だるま式に膨らんでしまい、頭を抱える原因となっていた」。加えて、OS更改を終えてもすぐにハードウェアのリプレース時期が来てしまうという、共通基盤のライフサイクルとのアンマッチも悩みだった。モダナイゼーションに至っては、通常のOS更改以上に体力・コスト・期間がかかる。課題の大小はシステムごとに異なるものの、20システム・200サーバという規模になれば、銀行全体へのインパクトは相応に大きくなる。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...
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