保守切れRHEL約200サーバを「そのまま」使い続ける──みずほ銀行がSUSE MLSを“戦略的ブリッジ”に選んだ理由
「SUSE Summit Tokyo」レポート
「期限の猶予」が生んだ自由度──旧OSから一気にモダナイゼーションへ
これらの課題を、同行はMLS導入によって解決した。「1番大きかったのは、保守期限に追われて、急ぎ足で動く必要がなくなったこと。つまり、期限の猶予を得られたことだ」と森氏は言い切った。スライドには「保守期限に縛られず、自分たちでスケジュールを決めて、より自由度の高い移行計画を策定可能」と記されており、移行のペースを決める主導権が保守期限からみずほ銀行自身の手に移ったことがうかがえる。「MLSを活用することで、脆弱性対応を継続しながら、より自由度の高い移行計画を、十分な期間をかけて腰を据えて練り上げることができたと感じている」と森氏はその手応えを語った。
もう1つの効果が、リソースの再配分だ。「OS更改に集中していたであろうリソースを、モダナイゼーションのような前向きな案件に振り分けることも、非常に良かったと考えている」
導入前は、旧OSからいったん新OSへ更改した上でモダナイゼーションに取り組む段取りだったため、モダナイゼーションはどうしても先送りになっていた。導入後は、MLSをブリッジとして旧OSの安全性を守りながら使い続け、そこから一気にモダナイゼーションへ移行できるようになった。「コストだけでなく、期間的にも圧縮するケースがいくらかあった」と森氏は振り返る。
講演の最後は、冒頭のメッセージに立ち返るまとめとなった。「MLSは、既存環境を単純に延命するためのものだけとは考えていない。脆弱性対応をしっかりと継続しながら、次の共通プラットフォームへの移行を自分たちの手で、より自由度の高い計画で進めるための戦略的ブリッジとして活用している」。レガシー基盤を一気に解消するのは「一筋縄ではいかない崇高な目標」であり、地に足をつけて進める必要がある。既存環境を守りながら、次世代共通プラットフォームへのプロセスを主体的に設計し進めていくことこそが、MLS導入で得られた最大の教訓であり価値だと締めくくった。
今後の展望として森氏は、クラウドやフロンティアAIに代表される領域で多数の脆弱性が公表されている現状に触れ、その対応手段の1つとしてMLSを通じたセキュリティパッチの迅速な提供をSUSEと協議していることも明かした。保守切れOSの「延命」を次世代基盤への助走に変える同行の取り組みは、OS保守期限とモダナイゼーションの板挟みに悩む企業にとって、1つの現実解を示すものといえるだろう。
この記事は参考になりましたか?
- EnterpriseZine Press連載記事一覧
-
- 保守切れRHEL約200サーバを「そのまま」使い続ける──みずほ銀行がSUSE MLSを“...
- 三菱重工が8年でグローバル141社に展開した「支出管理改革」とは?
- 稟議突破から“えこひいき”による定着まで──製造/不動産/老舗香料の3社が明かす「Box徹...
- この記事の著者
-
京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
