Colt、東京・大阪間に低遅延/大容量の“第3のルート” ハイパースケーラーや金融が待ち望む理由
2027年春提供の「東阪プラチナコネクト」 西日本網・海底ケーブルと一体で描くColtの国内戦略
Coltテクノロジーサービスが、東京・大阪間を結ぶ第3のルート「東阪プラチナコネクト」を2027年春に提供開始する。既存比で約30%の遅延低減、約25Tbpsの転送容量を備える予定だ。西日本エリアでのネットワーク網の拡充、グローバル規模での海底ケーブルへの投資などを進めてきた同社は、なぜ東阪プラチナコネクトを投入するのか。データセンターの地方分散、ハイパースケーラーによるAI需要など、その狙いについてプロダクトマネジャーを務める安藤衛氏に訊いた。
AIで膨らむ東阪需要 Coltが第3ルート敷設に踏み切った理由
Coltテクノロジーサービス(以下、Colt)は2026年10月15日、東京・大阪間を低遅延のルートで結ぶ、新サービス「東阪プラチナコネクト」を発表した(2027年春サービス提供予定)。同社は東阪間に「海側ルート」と「山側ルート」の2系統を保有してきたが、今回はそれに続く“第3のルート”となる。
新たなルートでは既存の2ルートより距離が短いため、約30%の遅延低減が可能になるだけでなく、当初から約25Tbpsのデータ転送容量を用意する予定だ。これにあわせて山側ルートも2027年初頭に帯域を増強し、東阪プラチナコネクトと山側ルートを合わせたデータ転送容量は約50Tbpsに達する。東京・大阪間におけるトラフィックが爆発的に増えている現在、同区間の通信容量を2倍以上に増強する構えだ。
市場の反応も早い。プロダクトマネジャーを務める安藤衛氏は、顧客に構想を伝えた際の様子を振り返る。
「『いつできるのか』『価格はいくらなのか』と、今すぐにでも利用したいという反応をいただきました。単に『増強しました』では響きませんが、“低遅延”となると反応がまったく違います」(安藤氏)
この投資の背景には、Coltが掲げるグローバル戦略の転換がある。30年以上前に英・ロンドンで創業した同社は、欧州とアジアを中心としてエンタープライズ向けに事業を展開してきた。強みは「メトロエリアネットワーク(MAN)」、すなわち都市圏のデータセンターや主要ビルを面的に光ファイバーで結ぶ都市型ネットワークだ。既に40ヵ国・230都市に接続し、52以上のMANで1,100以上のデータセンター、3万2,000以上の商用ビルと接続。安藤氏は、「都市をまるで芝生のようにカバーしている」と表現する。
ところが、ハイパースケーラーが急成長したことで、需要が二極化した。エンタープライズは、ローカルブレイクアウトとSaaSの利用が主流となったことで、SD-WANやSASEを含めたソリューションを求める。一方、ハイパースケーラーでは、データセンター同士を大陸や海を越えて結ぶ、超高速のネットワーク需要が高まってきた。
「エンタープライズへの対応と、ハイパースケーラーやキャリアへの対応とでは、ビジネスの形態が大きく違います」(安藤氏)
そこで、Coltは2026年からグローバル戦略を再定義し、営業組織もエンタープライズ向けとインフラ向けの2系統に分けた。後者は、ハイパースケーラーやキャリアが求める大容量の基幹ネットワークを担う部門だ。東阪プラチナコネクトは、このインフラ領域を強化する施策にあたる。
その最大の理由が「AI」だ。米調査会社Foundryが2026年3~4月に実施した調査(全世界のCIO 3,472名が対象)によれば、61%が「AI由来の継続的なトラフィック増加」を実感している。多くの企業が2年のうちにネットワーク容量の限界に達する、と見ている。「AI同士の推論処理で、データセンター間の通信量が予測できないほどに増加している」と安藤氏。既存のNaaS(Network as a Service)を拡張した「AI WAN」の開発と並行して、インフラの増強を急ぐ。
約30%の遅延低減 金融・ハイパースケーラーから熱視線
東阪プラチナコネクトの強みである、約30%の遅延低減はどう実現したのか。その答えは明快だ。
「既存2ルートと比べて距離が短い、これが最大の理由です。山側ルートは諏訪方面を経由し、海側ルートは旧東海道に沿うような形です。それに対して、今回は主要幹線インフラに沿うことで、より直線的に敷設できました」(安藤氏)
光ファイバー中の光の速度は真空中の約3分の2、秒速約20万kmで、1kmあたり約5マイクロ秒の片道遅延が生じる。長距離回線における遅延の大部分は、光ファイバーの敷設距離で決まるため、遅延低減には、ルートそのものを短くすることが最も確実だ。東阪プラチナコネクトでは高速専用線サービス「Colt Wave」を用いることで、100G/400Gといった大容量回線を想定した仕様としている。
また、今回の新ルートによって、ユーザーの選択肢が広がる利点も大きい。これまでの海側・山側の2ルートは、一部を除いて物理的に分離した冗長構成を実現してきた。そこに低遅延の東阪プラチナコネクトが加わることで、顧客は自社の要件にあわせてルートを組み合わせられるようになる。
たとえば、物理的な分離を最優先するなら従来の「海側+山側」、低遅延と冗長性を両立したいなら「東阪プラチナコネクト+山側(または海側)」といった具合だ。BCPを重視するのか、レイテンシーを重視するのか。業務要件に応じて最適な構成を選べるようになる。
提供:Coltテクノロジーサービス合同会社
金融機関にとっては、東京と大阪の拠点を結ぶ回線の遅延が、そのまま業務品質に響く。取引関連のシステムはもちろん、東西に分けて置いたシステム同士のデータ同期においても、遅延が小さいほど有利だ。一方、ハイパースケーラーにとっては、東阪のデータセンター同士を大容量でつなぐ新たなルートとしての価値が高い。さらに、同社が見据えるのは、AIの推論処理が広がることでデータセンター同士のトラフィックが増えていく未来だ。
推論処理が本格化すれば、データセンター間でどれだけ通信量が増えるのか予測は難しい。しかし、日本において東京と大阪を通過しないケースは少ないだろう。東阪プラチナコネクトは、こうしたAI時代の需要の受け皿となることも見込んで整備されている。
そして、Coltの国内網全体で意外な広がりを見せているのが公共分野だ。安藤氏は、「地方自治体では、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureを採用しているケースが非常に多いのです。しかし、ハイパースケーラーのデータセンターが地方にないため、東京や大阪のリージョンを利用することになります。そこで、Coltのネットワークを使えば、地方からでも主要都市圏とほぼ同等の品質で接続できます」と話す。AWSやAzureへの専用接続や帯域保証型のインターネット接続については、公共分野に強いSIerを通じて提供しており、地方自治体のクラウド活用を支えていく形だ。
全面開通を迎える西日本エリア 今後の拡大はどこに
東阪プラチナコネクトは、Coltが2023年8月に発表した「3年間で約150億円」という、西日本エリアにおける投資計画の延長線上にある。大阪以西では全22拠点(POP)の新設を進めており、岡山・広島のメトロネットワークは2026年12月、福岡は2027年1月に全面開通する予定だ。これにより、西日本エリアは2027年1月で全面開通を迎える。
グローバルでは、海底ケーブルの位置づけも変わった。Coltは長らく海底ケーブルを保有しない方針だったが、米Lumen TechnologiesのEMEA事業を18億米ドルで買収し、大西洋横断ケーブルを取得したことを機に積極投資へと転じた。2026年2月には大西洋横断のMarea、同年5月には東京とロサンゼルスを結ぶ太平洋横断のJunoの使用を開始しており、安藤氏によれば「どちらも非常に人気で、完売に近い」状況だという。福岡・広島・岡山といった新エリアから、アジア、米国、さらに大西洋を経て欧州へと、一気通貫で接続できる体制が整いつつある。
需要の拡大を受け、次の一手も打ちはじめている。現在、Junoの陸揚げ局からの接続は南房総(千葉)経由で提供しているが、安藤氏は「確保したキャパシティは、用意するとすぐに売れる状況です」と話す。想定以上の需要から、三重県・志摩からの接続も検討しているという。

また、提供形態の進化も見据える。東阪プラチナコネクトは当面、大容量・低遅延の専用線として提供される予定だが、NaaSでの提供も視野に入れているという。Coltにおいては、NaaSが注力事業の一つであり、AIでトラフィックが増えてコストへの意識も高まっていく中では、いずれ本格検討することになるだろう。
国内展開では、東北・北海道への延伸の可能性も残しつつも、同社が優先したいのは西日本のさらなる二重化だ。延伸先は、データセンターの建設動向と連動させて判断する。並行して、ソブリン(データ主権)やセキュリティへの関心の高まりを受け、日本国内のサポート・デリバリー体制も増強していくという。
「東京から大阪、九州まで、ハイパースケーラーや金融機関のニーズが非常に高い。まずは、そこに最優先で応えていく」と安藤氏。東阪プラチナコネクトは、日本のAIインフラの“背骨”を太くする取り組みとして、2027年春の提供開始に向けて大きな期待を集めている。AI時代のネットワークをどう設計するか。その答えを探る企業にとって、注目すべき存在となりそうだ。
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提供:Coltテクノロジーサービス株式会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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