ID管理の源泉は「人事」にある──人事・財務システムのWorkdayによるC1.ai買収の意義を解釈
「マシン→AI→ヒューマン」というアイデンティティ・チェーンを制覇することの意味
Workday側の真意:そもそも「人事システム」はID管理の源泉である
Workdayに限らず、ここ数年で大手業務プラットフォームによるアイデンティティ企業の買収は活発化している。AIエージェントを自社プラットフォーム上で自由に、かつ適切に動かせる環境を構築しようとなれば、進化は必然的にアイデンティティ管理のプラットフォームを取り込んでレイヤーを拡張する方向へと進んでいく。Workdayとよく比較対象に挙げられるServiceNowも、2025年末にVezaの買収を発表した。
また、キーノート後の囲み取材で、カズマイヤー氏は「HRシステムこそが真のアイデンティティの源泉である」との考えを示した。アイデンティティ管理のチェーンを源泉までたどると、その流れはOktaのようなIAM(アイデンティティ&アクセス管理ツール)よりもさらに上流から始まる。
すべてのAIエージェントがどんなシステムにアクセスし、どんな権限を持つのか決めるのは人間だ。つまり、経営者や役員、従業員である。そして、それら一人ひとりがいつ採用され、退職し、誰と誰が上司と部下の関係で、誰がどんな責任や仕事に権限を持つのかを司っているのは、HR(人事)システムである。
つまり、「すべての認証システムの根本にはHRシステムが存在する」というのが同氏の考えだ。HR側で役職や所属部門、それに伴う権限に何か変更が発生すれば、それがすべてのデジタルアクセス権限にも波及する。
これが、カズマイヤー氏が語るC1.ai買収の意義である。ヒューマンアイデンティティ、エージェントアイデンティティ、マシンアイデンティティ、これらすべてにまたがるアイデンティティ管理のチェーンを制覇する。これにより、AIを安全に使うための土台が整い、生成AI元年から探究してきた人とAIが協働する環境を、決定論的な側面で完全にカバーできるようになる。AIエージェント時代の業務プラットフォームが目指すべき姿として、Workdayなりに一つの答えに至ったとも言えるのかもしれない。
この先、フィジカルAI(ロボティクスワーカー)が組織の中に本格的に普及しはじめたとき、組織管理の常識にまた新たな拡張が起こる可能性はある。そのとき、同社がどのような進化を見せるのか。C1.aiの買収は、様々な想像が膨らみ、今後のロードマップが楽しみになる発表だった。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)の分野を中心に、ソフトウェア/ハードウェアを問わず国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材。そのほか、DX推進、IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。※取材のご案内等は個人のメールアドレスか、EnterpriseZine編集部の問い合わせ窓口にお願いいた...
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