シトリックス・システムズ・ジャパンは2010年9月27日、モバイルユーザー向けの新機能を追加したデスクトップ仮想化ソフトウェアの新パッケージ「Citrix XenDesktop 4 Feature Pack 2(以下、FP2)」を発表した。リリースは2010年9月末を予定している。
FP2で新規に追加された主な機能は「Citrix XenClient(以下、XenClient)」と「Citrix XenVault(以下、XenVault)」の2つだ。XenClientは、オフライン環境での仮想デスクトップの利用を可能にするもの。サーバー上で稼働するデスクトップ環境にリモートアクセスするという構造上、仮想デスクトップの利用にはネットワーク接続できる環境が必要不可欠となる。ただし、外出先などでは必要な環境が整わないことも珍しくないため、デスクトップ仮想化の導入を阻む一因ともなっていた。
今回追加されたXenClientはクライアント端末向けハイパーバイザーで、仮想デスクトップを稼働させるために必要な環境をユーザーのモバイルパソコン上で提供するためのもの。XenClientを導入することによって、サーバーとクライアント端末の双方で仮想デスクトップを利用できるようになる。例えば、普段はサーバー上で稼働させている仮想デスクトップを、外出する際にはクライアント側にダウンロードすることでネットワーク接続ができない環境での利用も可能になる。
クライアント端末上での変更情報は専用のコンポーネント(Synchronizer for XenClient)によって定期的にサーバー側に自動送信される。サーバーとクライアントそれぞれの仮想デスクトップのデータは同期されており、万が一、クライアント端末が物理的に破損してしまった場合にも、新しい端末に対してサーバー側のデータをリストアできるようになっている。
XenClientは「Type1」とよばれるタイプのハイパーバイザーで、XenServerなどサーバー仮想化ソフトウェアと同様にOSを介さず、クライアント端末のハードウェア上で直接稼働するためパフォーマンスやセキュリティに優れる。また、PC管理やセキュリティなどの支援機能を提供するインテル社のテクノロジー「VPro」を活用できる設計となっているという。
一方、XenVaultはクライアント端末で企業アプリケーションを利用する際に作成されるデータを自動的に暗号化した上で、あらかじめ設定した保護領域に保存するもの。ビジネスでも利用されるものの、厳格な管理は適用できない個人所有のノートパソコンなどのセキュリティを向上させるための機能だ。仮想デスクトップや仮想アプリケーションへのアクセスを行うためのクライアント・ソフトウェア「Citrix Receiver」へのプラグインとして提供される。
XenClient、XenVaultはいずれもXenDesktop 4 Feature Pack 2に同梱される。XenClientは基本的には無償提供だが、管理機能(Synchronizer for XenClient)を利用する場合は、11デバイス以上でXenDesktop Enterprise/Platinumが必要となる。