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クラウド時代のJavaEEプラットフォーム選びのポイント

第1回

WebSphere Application Server なら様々な周辺機能が標準装備

 とはいえ、Javaプログラムを単純に動かすだけでは、各社製品の差を見いだすのは難しいかもしれない。処理性能のベンチマーク結果を見ても、WebSphereが1位を獲得していることもあれば、他社製品がそれを脅かすこともある。性能ベンチマークについては、各社が切磋琢磨し競い合っている部分でもあり、現状で圧倒的にどこかが優位性を持っているとは言いにくい。

 製品の差が現れやすいものに、アプリケーション・サーバーの周辺機能がある。例えば、レスポンス性能に大きな影響を与える機能に、キャッシュがある。他社製品の多くは、キャッシュは別製品かオプショナル機能として、別途ライセンス費用が必要なものも多い。

 これに対し、WebSphereではキャッシュ機能は標準で用意されている(図1)。WebSphereのキャッシュ機能は、HTTPサーバーやProxyサーバーで静的コンテンツをキャッシュすることはもちろん、アプリケーション・サーバー部分で動的コンテンツのキャッシュも可能だ。もちろん、これらを組み合わせ、多段階のキャッシュの仕組みも構築できる。

図1:ライセンス課金対象はAPサーバーのみ

 「キャッシュ機能は初期設定ではオフになっています。これをオンにしただけで大幅なレスポンス向上が実現できたサイトもあります」と須江氏は言う。この他にも、ソフトウェア・ロードバランサー機能も標準とのことだ。さらに、他社製品では上位版でしか提供していないようなクラスタリング機能も、WebSphereなら廉価版のExpressやBaseエディションでも、5ノードまでのクラスター構成が可能となっている。これにより、追加費用なしで障害発生時にHTTPセッションを引き継ぐ、高可用性機能が実現できる。

 さらに、Feature Pack(拡張機能を追加するための無償のアドオンパッケージ)という形で新たな機能も追加できる。SIPへの対応や、WebSphereの上でJavaによるバッチ処理を行う機能などが拡張機能として用意されており、これらについてもWebサイトからダウンロードして機能追加が可能だ。Feature Packの利用は製品サポートの対象となり、追加のライセンス費用も必要ない。

 「アプリケーション・サーバーの様々な周辺機能が、WebSphereには標準で装備されています」と須江氏。WebSphereは、本体に多くの周辺機能のライセンスも含まれているので、クラウドで必要となる様々な機能を組み合わせた、トータルな構成の場合に他社製品よりもかなり安価になる可能性があるとのことだ。ライセンス費用が削減できれば、運用コストとなる保守費用の圧縮にもつながる。

次ページへ続く

 

 

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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