韓国の行政手続きは、すべてインターネットで完結
先日、韓国に住んでいる弟から電話が掛ってきた。「兄さん!役所から連絡が来て、すぐに転出届けを出さないと住民登録が職権抹消されるらしい!」と弟が言う。私の家族が日本に移住する前に、韓国に住民登録を残さなければならないので、弟の家に住民登録を移してきたのだが、弟が先日、引っ越しをしてしまい、新しく転入してきた住人から役所に通報があったらしい。お前が転出する時に同時に写してくれればよかったのに、と弟に文句を言いながら、国際電話をかけ、役所の担当者と電話でやり取りをした。
「もしもし、住民登録移転の関係で、連絡を受けた廉と申しますが、私は今、日本に居住しており、すぐ住民登録の移転手続きのために韓国には行けませんが、どうしたらよいのですか?」と尋ねた。すると向こうからは、「そう言われても困ります、早く転出届けを出せばよいのではないですか?」と答えるのだ。しかも、明日までに転出届けを出さなければ、職権抹消処理をするしかありませんと付け加えて。
日本からの電話をしていると伝えたは「あなたの話は分かりますが、ここは日本なので、すぐ動くとしても会社の都合などもあり、明日まで韓国に帰れないので、数日時間をいただけませんか?」と自分の置かれた立場を説明した。
すると向こうから、「それが何だと言うのですか。韓国に帰国しなければいけないとも言っていませんし、日本で手続きをやってくれればよいのではないですか?」と再三文句を言ってきた。「日本で手続きをやると言ったって、どこでやるのですか?韓国大使館などでも転出手続きは可能ですか?」と聞くと、「何を言っているのですか?廉様が居られるのは、日本国でしょう?日本は韓国よりインターネットが進んでいると聞きますが、インターネットは使えませんか?インターネットを使って電子申請をすれば良いのではないですか?」と言われた。私は、「転出手続きはネットでできるのですね?ありがとうございます!それではすぐやります!」と伝えて電話を切った。
そして、すぐに韓国政府のネット上の行政ポータルサイトに接続をした。国民IDや暗証番号を入れてログインをすると、初期画面に「転出届け出」のボタンが目に入ってきた。すでに自分の基本情報は、私の国民IDから検索され、ほとんどの入力項目は自動的に画面に入力される。転入先の住所だけ入れれば、それで手続きはすべて完了した。これで本当に良いのかと不安に思うくらい簡単だった(画面1)。
さらに、申請ボタンを押した瞬間、転入届け出を出すなら、同時にやるべき手続きが7つもあるというメッセージが表示され、それら自動で処理して良いですか?と尋ねられた。内容を見てみると、警察庁管轄の運転免許証の住所や子供の転学処理、年金関係の住所等の変更申請等が表示されている。要するに、韓国では全国の役所のコンピュータシステムがつながっており、転入手続きをすれば、以前住んでいた居住地の役所には自動的に転出手続きがされ、また、省庁をまたがって、必要な各種手続きを自動的に処理してくれるのである(図)。
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