ソーシャルネットで社会の抜け毛をのこらずキャッチ!
ソーシャルネットワークが百花繚乱の21世紀初頭から、
21世紀初頭以後のみなさまにご挨拶申し上げます。
いまや社会のあらゆるものがソーシャルとなり、
「そもそもソーシャルって言葉が 『社会』 っていう意味でしょ?」
「いや、そうでもないです」
「あれはなんという動物ですか?」
「カンガルー(現地の言葉で 『赤ちゃんが乗っています』 の意)」
「神田ルー? 芸名?」
「いや、そうでもないです」
多くの人がネットを介した人づきあいを楽しんでいますが、
ここで問題になるのは、やはり属性詐称の問題だと思います。
プロフィールに書かれているとおりの人物なのかどうか、
ちゃんとした保証がないことが多いんですね。
顔写真があったって、それが本人なのかどうかはわかりません。
ひと昔まえなら、女性だと思って実際に会ってみたら男だった!
というのが定番のインターネットどっきりでしたが、
現在はテクノロジーの進歩によってその状況がさらに深刻化し、
会ってみたら平べったいお掃除ロボットだったとか、
会ってみたら空のサーバラックだったとか、
会ってみたらサポートされていないプロトコルだったとか、
そういうことがふつうに起こりえるんですね。
「起こりえるんですか?」
「いや、そうでもないです」
「あれはなんという動物ですか?」
「カンガルー(現地の言葉で 『動物などどこにもいませんよ』 の意)」
「 『まんが食う?』 とおっしゃいましたか? いいえ、食いません」
「カンガルー(現地の言葉で 『カンガルー』 の意味もある)
「ああ、三太夫……」
「いや、そうでもないです」
とはいえ、筆者などは古い人間ですから
やはり人間関係は顔を合わせてこそであると信じていますので、
ソーシャルネットワークで知り合ったおもしろい人物とは
機会があるかぎりなるべく実際に会ってみることにしています。
その結果として、人間じゃないなにかとのリアルでの交流が
スタートしてしまうケースがしばしばですが、
正直に申し上げるとこれまでの全ケースがそうでしたが、
それはそれで人生を楽しくしてくれるものであると
筆者としては自信を持って申し上げたいのです。
「自信があるんですか?」
「いや、そうでもないです」
「あれはなんという動物ですか?」
「カンガルー(現地の言葉で 『あれは動物ではなく、ただの言霊が
浮遊しているのです。決して手をふれようとしてはなりません。
言霊には強い毒があり、しばしば人を灰色にします』 の意)」
「なるほど、版画牛……」
「なににどう納得したのか教えていただけますか」
「カンガルー(当該人物の故郷の言葉で 『版画をご存じですか。
木の板などを彫って、表面に塗布した絵の具を紙に転写すること
で、平面の芸術作品をつくるのです。牛というものをご存じで
しょうか。さしわたし30メートルほどのやわらかい塊で、
地上から30メートルほどの高さを飛行し、ときどき落下します。
この二つの組み合わせは福を呼ぶと昔から言われており、』 の意)」
「なるほどですね」
「いや、そうでもないです」
打ち明け話をすれば、かくいう筆者も実際のところは
不定形のお掃除ロボットですので、ほんとうの人間というものが
はたしてほんとうにどこかにいるのかどうか、いまだに
よくわかりません(これを読んでいるあなたは人間ですか?)。
とはいえ、2011年も希望を手放さず、ネットやリアルでの
交流にはげんでゆく所存です。
終わっていない大掃除も、なるべく今年中に終わらせるつもりです。
どうぞよろしくお願いいたします。