今回は、これまで述べてきた日本企業の特徴を考慮して、日本型のグローバルITガバナンスの構築において有効と考える4つの原則を提示する。
原則①:プロセスとリソースの最適化に焦点をあてる
多くの組織は、地域別または事業(製品ライン)別に編成されている。これは、目標を設定したり、業績を管理したりするうえでは一見合理的に見えるが、業務プロセスの観点からは必ずしも最適化にはつながらない。すべての地域において類似した自己完結型のバリューチェーンが形成されているわけではなく、例えばアジアで部品を製造し、日本で組み立て、欧州市場で販売するといった具合に、地域と事業(製品)のマトリックスはグローバルなバリューチェーンの一部分を構成する要素となることが多い。
また、世界中に散らばったリソース(人、資金、資材など)を物理的に中央に集約するのではなく、必要に応じて共有したり、タイムリーに移動させたりできるよう、その所在を追跡し、情報を統合する仕組みが必要となる。これを実現するためには、パフォーマンスやリードタイムを測定する統一した指標をもち、常にこれに照らして最適化を図ることが求められる。
ビジネス要件 | 求められるITの対応 |
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出典:ITR
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内山 悟志()
株式会社アイ・ティ・アール 代表取締役 プリンシパル・アナリスト 大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年にデータクエスト・ジャパン株式会社に入社し、IT分野におけるシニア・アナリストを務める。1994年、情報技術研究所を設立し、(現:㈱アイ・ティ・アール)代表取締役に就任。同分野では...
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