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#62 ダイバーシティの活用で活況のシティの企業の近況の


ダイバーシティの活用で活況のシティの企業の近況の…

現在、ダイバーシティ・マネジメントという考え方の
重要性・有効性はひろく認知されるようになり、
IT業界でも、これに取り組む企業が増えてきました。
企業というものは、均質な人間の集まりではありません。
お互いの違いを正しく認識し、認め合ってこそ
高い競争力をもつ企業として成長してゆけるのです。
当欄では、そういった成功事例のいくつかをご紹介します。

ソフトウェア開発日本ジンギス社の担当者Hさんは、
社員の多様性について調査したところ、全社員のうち
約6割が宇宙人であったことが判明した、と語ります。
この事実は上層部にはなかなか受け入れられず、対応は
困難をきわめました。宇宙人であるはずの本人たちも
記憶を操作されているようで、なかなか信じようとしなかった
のだそうです。Hさんのねばり強い説得のかいあって、
いまでは全員がこの多様性を認識し、全社をあげて
手をつないで輪になって宇宙人社員の実家と交信するなど、
活発なとりくみが続けられています。

対応すべき多様性の重要度トップとして血液型をあげたのが
ITコンサルティングの大手である藁ソリューションズです。
血液型性格判断に基づき、社員の性格パターンを4つに分類。
日常のあらゆる細部にわたる行動マニュアルをつくり、
これを全員に遵守させることで、社員が個々の血液型にそった
正しいふるまいをつねにできるように配慮しました。
これが成功を収めると、つづいて干支の違いに着目し、
それぞれの干支の行動特性を業務に反映させることで
社内に活気が生まれたと、取締役のSさんは語っています。

調査の結果、おもっていたよりも社員のダイバーシティが
乏しいことが判明したのは、SI系のインテグラニー社です。
全員が同じ性別、ほぼ同じ経歴、出身地、趣味、という
きわめて珍しい社員構成になっていました。
内部での拮抗が足りないことが企業から活気を奪うと考えた
取締役のUさんは、従業員の多様性を増大させるべく、
医療メーカーの協力で、各人がオリジナルな
身体的特徴を外科移植によって付け加えることを奨励しました。
その結果、とてもはなばなしい差異が生まれ、
取引先からも「覚えやすい」と好評だそうです。
外見上の違いにのみこだわる姿勢について、
担当者からは「やはり身体性が…」と聞こえる返答を
いただきましたが、移植された巨大な犬歯のために
はっきり聞き取れなかったことをここにお詫びいたします。

宗教観の違いがダイバーシティ・マネジメント上の
大きな焦点になったのが、webサービス系の㈱ネットボットです。
社員は全員無神論者ですが、宗教とはかくあるべきものだという
確固たる思想をそれぞれに持っており、その思想にほかの
社員を従わせ、自分が想像した神の実在を信じさせようとして
業務そっちのけで熾烈な精神闘争を繰り広げていました。
なぜ全員がそんなことをしようとしたのかは不明だそうです。
しかし、社長が粒子加速機に飛び込んで高次元的存在と
一体化し、新時代の神となって帰還したことで、
全員がお互いの宗教観の違いを受け入れたうえで
社長の信者となり、業務がスムーズに行えるようになりました。

また、ダイバーシティ・マネジメントの意味を大きく読み換え、
個々の社員のダイバージョンを管理するという方向で
大きな成果をおさめたのが、日本ネメシス社です。
従業員が全員ソフトウェアであるこの企業では
社員のひとりひとりにたくさんのバージョンがあり、
うっかり最新バージョンの社員を削除してしまうなどの事故が
ひんぱんに起こっていましたが、
最新のバージョン管理ソフトで一括処理することで
結果として人員整理も効率的に行うことができたと、
担当の++さんは喜びをこめて語っていました。

このように、一口にダイバーシティ・マネジメントといっても
その取り組みの方法はさまざまですが、いずれのケースに
おいても共通しているのは、「違うって、ふしぎ……」という
素朴な好奇心と、人間という存在の可塑性への深い信頼でしょう。
人類にはまだまだたくさんの可能性が残されていると、
この取材を通して、つよく感じました。

 

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この記事の著者

倉田 タカシ(クラタ タカシ)

「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...

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