再起動のない自動更新を求めて行進する人々(写真)
「自動更新のなにがそんなに困るのですか?」
マザーコンピュータが不満をもらすのも無理はありません。
よかれと思ってやっているのに、どうしてそんなに文句を
いわれてしまうのか。
しかし、ソフトウェアの自動更新というものは、
一般的に、どうも歓迎されないもののようです。
「更新がひんぱんにありすぎるのがいやなのですか?
でも、不具合があったらすぐに直ってほしいでしょう?」
ときに数秒単位でやってくる自動更新は、
人間の生活リズムにはいまひとつしっくりこないことを
マザーコンピュータはまだ理解できていませんでした。
「更新のたびに見た目が変わるのがいやなのですか?
でも、新鮮な気持ちで使うことができるでしょう?」
きのうまで牛の姿だったものがきょうはイソギンチャクの
姿に変わっている、というような更新は、人の心を
かきみだすということにまだマザーコンピュータは
気づいていないのです。
牛やイソギンチャクそのものの姿をしたツールを
操作したい人間がそれほどいないことにも、
マザーコンピュータは注意を向けるべきかもしれません。
「更新のたびに再起動しないといけないのが困るのですか?
でも、重要なツールだからコアな設定を上書きしないと
使えないでしょう?」
マザーコンピュータは再起動の意味をすこしだけ勘違い
しており、ツールを使うユーザも同時にシャットダウンと
再起動を行わなければいけないと考えているようなのです。
ツールから発せられる電撃はとても劇的にユーザの人生を一新
してくれますが、そういう経験を人はそう何度も得たいとは
思わないものです。
「もしかして、マザーコンピュータに支配されてるのが
屈辱的で嬉しくないという気持ちが背後にあるのですか?」
よかれと思ってしたことが歓迎されないのは、
自分の稼働時間がまだまだ短いからだろうかと
つい気に病んでしまうマザーコンピュータです。
とはいえ、人々もたびたびの電撃による再起動をへて
いろんなことに寛容になってきており、
マザーコンピュータの悩みもそう長くは続かないでしょう。
問題のツールは現在カブトガニの姿をとっており、
正しい使い方を見つけられた人はまだいません。