時代が求めるビジネスのアジリティを支えるALM
最近ALMへの関心が高まっている背景には、アプリケーションはビジネスにおける“要”になっていることがある。日本マイクロソフトの長沢氏は「アプリケーションはあると便利というレベルではなく、無いとビジネス価値を損なう恐れがある存在となっている」と指摘する。
同時に、現在のビジネスに求められているのは「アジリティ」だ。その目的はビジネスの変化への俊敏な対応、柔軟性と許容性の能力強化、ビジネス価値の最大化になる。そのため、ビジネスに価値を与えるためのアプリケーションは質が高くなければならないが、同時にタイムリーに出さなければならない。つまり「開発にもアジリティが求められている」というのが長沢氏の主張だ。
そこでソフトウェア開発の品質・コスト・納期(QCD)を改善する手法としてALMが注目されている。長沢氏によればALM の定義には広義と狭義があり、広義は「アプリケーション全体のライフサイクルを運営する」という意味になる。その主眼はビジネス全体を把握し、透明性、追跡性を確保することになる。
狭義は開発のSDLC(Software Development Lifecycle)、ソフトウェア開発のライフサイクルに近い。アプリケーションの継続的なデリバリーにフォーカスし、ビジネスのアイデアを実現可能にするカスタム・アプリケーションを開発する。
広義と狭義の両方でALMが実現しようとしていることは、以下の3つの言葉で表現できる。それは"the Right thing"「ビジネスのアイデアをソフトウェアに転換」、"built Right"「ライフサイクル全体での品質の作り込み」、"the Right way"「変化への柔軟かつ確実な対応」だ。
ALMには人とプロセス、ツールのバランスが必要
従来、ALM といえばツールを中心に語られる傾向があった。対して長沢氏は「ALMに求められているビジネス価値の継続的な提供を実現するためには人とプロセス、ツールのバランスが必要」と指摘する。ALMのツールは約10年前から提供されているが、その多くは個別の工程、問題に対応した製品になっている。そのため使い勝手が違い、各工程を繋ぐ部分は人の経験知に頼っていた。
長沢氏はそうしたツールをALM1.0と呼ぶ。エディタとコンパイラ、IDE 中心で開発していた時代はそれでも対応できた。しかし、現在ではテクノロジーの進化やビジネスの要求に応じたチーム開発ツール活用が主流になり、様々な立場のステークホルダーが増えている。
これから求められるALM2.0は、各工程を横串で見ることもできるツールだ。問題点を把握して解決し、より良いものを作っていくためにはProcess efficiency & Automation、Traceability & Share、Reporting & Insightの3つ視点が必要になる。目指すのは、プロダクトデリバリーまでの期間(WIP:Work in Process)の短縮と、共通のリポジトリ設置による顧客と開発者への継続的なフィードバックサイクルの確立であると、長沢氏は指摘する。
例えば、マイクロソフトのTeam Foundation Serverをプラットフォームとして導入すれば、ステークホルダーが一番使い勝手のいいツールを使い、コラボレーションできる土台を得ることが出来る(図)。ファイルを個別に持つのではなく、共通リポジトリで管理するのであれば、プロジェクトの状況確認のためにExcelを使ってもよい。使い勝手のいいインタフェースとして有効活用できる。
Visual Studioの最新版では、Team Foundation Serverを使い、ALMの概念を一般化しようとしている。長沢氏は「誰もがALMの手法で実施出来るように、ソフトウェア開発をあるべき姿にマッチした姿に、持って行けるように考えている」と紹介し、セッションを結んだ。
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