SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

データ活用新時代

クラウドが実現するビッグデータビジネス

大量データ解析が事業の付加価値を増大する

「データ解析で役立つ知見を導出しよう」とする主張に対しては「それはBIとか、DMとか、センサーネットとか言ったが、あまりうまくいかなかったのよ」と苦笑されることが多い。しかし、状況は変化した。クラウド利用の進展に伴うデータ集約、関連技術・研究の成熟、国内ICT産業の逼迫、苛烈化するユーザー企業の競争等を背景に、2010年代はビッグデータビジネスの隆盛が予想される。

2010 年代はビッグデータビジネスが隆盛する

 2011年以降の情報・通信に関する潮流として、「ビッグデータビジネス」の立ち上がりが予想される。ビッグデータビジネスとは、「大量のデータを収集・解析することにより、事業の付加価値をより高めるような営み」を意味する。

 もちろん、過去にもこのような取り組みは試みられてきた。データマイニング、ビジネスインテリジェンス、果ては、センサーネットワーク構想やユビキタスネットワークなども、似たような考え方のもとに提唱された概念と言える。しかし、様々な概念が提唱される中で、市場としての拡大に至らなかったものや、活用シーンが特殊な用途に限定されていたものも少なくなかった。

 本稿では、2011 年というタイミングにおいて、ビッグデータビジネスが隆盛しつつあると考える背景とその可能性について概観する。

クラウド利用の進展が、ビッグデータビジネスを促進する

 ビッグデータビジネスは、クラウド利用の進展に促されて進むと考えられる。本項では、情報システムのユーザー企業および提供事業者を取り巻く状況を検討する。

 ユーザ企業におけるクラウド利用がビッグデータビジネスを促進する理由として、クラウドを利用する環境では「サーバーにデータが集約されること」を第一に挙げられる。サーバーにデータを集約することは、ビッグデータをつくるための基本的な環境整備となるものといえるためである。もちろん、データの収集と蓄積に際し、データの整合性をどのように確保するかといった課題の解決は別途求められる。

 「データから知見を導出する」という点は以前からの関心事項であるが、「サーバーにデータが集約されること」の効能については、クラウド利用が拡大しつつある直近において注目するべき事項と言える。また、年々苛烈さが高まるユーザー企業の競争環境の中で、より効率的で確実な施策を求める期待感も、ビッグデータビジネスの促進につながるだろう。

 併せて、情報・通信サービスの提供事業者においても、クラウド利用の進展により、ビッグデータビジネスへの取り組みに傾注する事業者が増加すると考えられる。ここでの提供事業者とは、システムインテグレータなどの情報システム開発に関連する事業者が第一に相当する。

 ビッグデータビジネスにおいては、取り扱うデータの中身にまで深く踏み込んだ理解が求められるため、多くの既存提供事業者にとっては容易ではない。そのような中で、なおビッグデータビジネスに傾注が進むと考える理由は、これまでとは異なる収益源の必要性が高まるためである。

 この背景にクラウドの利用の進展に伴い、従来の情報システム開発市場が、縮小することへの危惧がある。クラウドに対するユーザー企業からの期待として、情報システムに係る総費用の低減がある以上、オンプレミス型のシステムからクラウドへの移行時には縮小遷移が生じることは避けられないためである。そのような中で、事業規模や成長を維持するためには、従来不慣れであった領域も新事業領域として開拓することが必要になると考えられる。

 もちろん、市場縮小の中で既存提供事業者が講ずることのできる施策は、ビッグデータビジネスだけではない。顧客の母数を増加させるための「グローバル展開」や、「顧客セグメントの拡大(例えば中小事業者の開拓等)」を行うといったことも想定できる。そのなかで、ビッグデータビジネスは「顧客単価を上げるための施策」と位置付けられる。クラウドの利用進展に伴い、縮みゆく情報システム部門の予算を狙っている限り、顧客単価の向上には限界がある。今後、提供事業者は、情報システム部門以外の事業部門の予算を狙う必要性が増すことになるだろう。各事業部門への訴求を行うという観点からも、ビッグデータからの知見導出は汎用性のある施策と考えられる。

 これは決して簡単なテーマではないが、提供事業者が一般に理念として掲げる「ユーザーへと付加価値を提供するICT」を体現するものであり、情報・通信サービスの提供事業者が施策を講ずる蓋然性は高いといえよう。(次ページへ続く

次のページ
関連商材・技術の成熟とサービスモデル・ビジネスモデルの洗練が進む

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
データ活用新時代連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

鈴木 良介(スズキ リョウスケ)

株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタント2004年、株式会社野村総合研究所入社。以来、情報・通信業界に係る市場調査、コンサルティング、政策立案支援に従事。近年では、クラウドおよびビッグデータの効率的かつ安全な活用を検討している。近著に『 ビッグデータビジネスの時代』...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2963 2011/03/25 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング