アビックスと沖電気工業(以下OKI)が共同開発した「リアルなう」は、世界初の屋外用デジタルサイネージ向け視認者分析システムだ。通行人数に応じた屋外広告の“ 視認率” に加え、視認者の属性(性別・年齢)をコンテンツごとに計測が可能となっている。最新のデジタル技術が可能にした、データの取得技術の概要と、コンビニエンスストア店頭で行われている実運用の現状を紹介する。
Webと看板の「弱点」を補完するデジタルサイネージにおける視認者分析
現在、目の前の通りを通行している人の数と、その男女比、年齢構成をリアルタイムで測定する。映像センサーと人の属性分析エンジン、データ解析ソフトウェアが、マーケティングを劇的に変えようとしている。屋外広告の視認率測定に関して、国内外で様々な取り組みが行われている中、2010年に、デジタルサイネージ(電子看板)に関するサービスを提供しているアビックスとOKIにより開発されたのが視認者分析サービス「リアルなう」だ。これはデジタルサイネージに見入った人だけでなく、屋外の通行人の数や属性も分析可能ということでは、世界初のシステムとなっている。
デジタルサイネージにおける視認者分析が注目されているのは、Web と看板の「弱点」を補完する可能性があるからだ。インターネットの普及により、様々な広告・宣伝は、従来あった時間や空間を超越して提供することが可能になった。ただし、基本的にWeb 上にある情報は、何らかの関連する情報に関心がある人が検索したり、画面上のリンクをクリックしてもらわない限り、その情報にアクセスすることができない。
そのWeb の対極にあるともいえるのが看板の世界だ。屋外広告は、基本的に掲示の場所と期間が固定され、その前に足を運んだ人にしかアピールできない。逆に、通行人の嗜好に合致したコンテンツであれば、数多くの通行人に向けて潜在的な消費行動を喚起できる可能性がある。アビックス 取締役副社長 兼 CTOの時本豊太郎氏は「デジタルサイネージを通じてリアルの世界とWebを繋ぎ、ビジネスに有益な情報をフィードバックすることが求められている」と語る。(次ページへ続く)
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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