2011年はインターネットの歴史に残る年になるだろう。2011年2月3日(日本時間)、インターネット上で利用されるIPアドレスをグローバルに管理するIANA(Internet Assigned Numbers Authority) にて新規に割当可能なIPv4アドレスの在庫がついに枯渇した。これによりインターネットの前進であるArpanetから利用されてきたIPv4は、次世代プロトコルIPv6にバトンを渡そうとしている。本連載では、IPv4アドレス枯渇とはどういったことであり、社会にどのような影響をもたらすのかを明確にし、企業のインフラがこれから訪れるIPv6時代にどう対応していくべきかを解説していく。
IPv4アドレスとは?
ここで、おさらいの意味も込めて簡単にIPv4アドレスについて説明しておこう。IPv4アドレスとは、身近な物に例えると「電話番号」をイメージしてもらうと分かり易いだろう。一般家庭の電話には、1つ1つ電話番号が割り当てられており、誰かに電話を掛けたいと思った時には、相手の電話番号を知っている必要がある。
インターネットの通信の仕組みも、実はこの電話番号のように、全ての物にユニークな番号が割り当てられており、どこかのサーバーやPCと通信をしたいと思ったら、この番号を知っている必要がある(図1)。このインターネットで通信を成立させるために必要な番号が「IPv4アドレス」と呼ばれている番号だ。

電話番号にも会社の中だけで使用する内線番号と、会社の外の人と電話で話せる外線番号があるように、IPv4アドレスにも2種類のアドレスが存在する(図2)。電話の内線番号のように、組織内で自由に割り当てて使用できるのがプライベートアドレス。電話の外線番号のように、ISP等から正式に割り当てられ、インターネット上の機器と通信できるのがグローバルアドレスだ。
電話番号が電話会社によって管理されているように、IPv4アドレスもIANA(Internet Assigned Numbers Authority)によってグローバルに一括管理されている。

今、世間を賑わしているIPv4アドレス枯渇とは、この「グローバルIPv4アドレス」がIANAによって枯渇したという状態を指すものである。(次ページへ続く)
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大元 隆志(おおもと たかし)
ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、 技術者、経営層、顧客の3つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。講談社 現代ビジネス、翔泳社EnterpriseZine、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所有資格:米国PMI認定 PMP、MCPC認定シニアモバイルシステムコンサル...
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