続々とIPv6接続の提供を開始し始めたISP各社
NTT東日本、NTT西日本が、2011年6月1日からフレッツ光ネクストによるIPv6インターネット接続の提供を開始した。NTT東西の発表に合わせて、IIJ、NTTコミュニケーションズも同サービスへの対応を発表している。同サービス以外にも2011年4月以降、既にIPv6を提供していたYahoo!BB以外にも、auひかり、@nifty、BIGLOBEもIPv6の提供を開始しており、国内の主要ISPは続々とIPv6対応になっている状況だ。
既に発表されたISP各社のIPv6利用料金は、新たに追加される月額利用料金は不要とアナウンスされており、日本国内におけるIPv6接続サービスは追加コストなしになっていきそうだ。
2012年末のネットワーク予想図
こうした通信事業者、ISP各社の対応によって、2012年末の国内のネットワークは次のような状況になっていると筆者は予想している(図1)。
まず主要な通信事業者/ISPのインフラは、IPv4/IPv6デュアルスタックによる提供が当たり前の状態になっていると予想される。一般家庭のインターネット接続は、既にインターネット回線を契約している家庭については従来通りIPv4の利用が継続される。これから新規にインターネット接続を契約するユーザー宅には、IPv4/IPv6両方利用可能なブロードバンドルータ等が配布されていくだろう。また、先進的な一部の情報家電等はIPv6のみで動作するものも登場してくるだろう。
また、モバイル環境に目を向けると、スマートフォン、タブレット等のスマートデバイス、2012年から本格展開が開始されるLTE対応端末において、IPv4/IPv6が提供されていくことが予想される。従来のフィーチャーホンについては、現在携帯キャリアはスマートデバイスの販売に注力しているため、引き続きIPv4のみ提供されていくだろう。クライアントの環境がモバイル、固定網共にIPv6の接続状況が整ってくることを受けて、iDCもIPv4/IPv6の接続性を提供することが当たり前になってくるだろう。
肝心のユーザー企業のネットワークについてだが、ここの対応は一番緩やかになると筆者は考えている。外部公開サーバーが存在するセグメントまではIPv6対応を行う企業が登場してくると予想される。しかし、社内LANについては当面IPv4の利用が継続されることになるだろう。
理由としては、社内システムは通常IPv4プライベートアドレスを利用しているので、IPv4アドレス枯渇の影響を殆ど受けない。その上、IPv6対応にするためには、企業の規模にもよるが、多くの時間とコストを必要とすることになる。業務アプリの動作チェック等にも検証が必要になるため、そもそもIPv4アドレス枯渇の影響を受けない通信において、そこまでしてIPv6を積極的にビジネス用途で利用しなければならない理由が乏しいことが挙げられる。
そのため、IPv4による接続性が損なわれる事によって、機会損失が発生する事が予想されるポータルサイトや、外部公開サーバーについては、IPv4枯渇対策を検討する企業も登場することは十分予想されるが、それ以外の部分については従来通りIPv4が継続利用されるだろう。(次ページへ続く)