オペレーショナル・エクセレンスからオペレーショナル・レジリエンスへ
BPMという言葉がもてはやされるようになって久しいが、プロセス管理手法の研究と実践自体は、古くは1920年代から行われている。1970年代にはパッケージアプリケーションによるベストプラクティスの適用が提唱され、1980年代から90年代にかけてはシックス・シグマやリーン生産方式など、ビジネス環境の変化に迅速に対応できる俊敏性を備えたビジネスプロセスの重要性が唱えられるようになった。
しかしこうした手法を以ってしても、一部の業務アプリケーションはビジネスプロセスの変化に対応し切れないことが判明した。そこで登場してきたのが、SOAやイベント・プロセッシング、そして本セッションで取り上げるBPMといった技術だ。既にここ3、4年の間に、かなりの数の企業がBPMを導入し、着実にその成果を挙げている。
では今後、BPMはどのような方向に向かっていくのか。カンターラ氏は、次世代BPMを理解するためのキーワードとして「オペレーショナル・レジリエンス」(Operational Resilience)を挙げる。
「これまで多くの企業では主にオペレーショナル・エクセレンス(Operational Excellence:業務効率化)を主眼としたプロセス改善を追求してきたが、これからはオペレーショナル・レジリエンスへの取り組みも併せて進めていく必要がある」(カンターラ氏)
“Resilience”とは、「弾力性」や「回復力」を意味する言葉だ。つまりオペレーショナル・レジリエンスとは、企業が環境の変化や不測の事態に対して弾力的かつ柔軟に対応しながら、継続的にビジネスを成長させていくことができるオペレーションの在り方を指す。その具体的な取り組みとしては、「非構造化プロセス」「動的BPM」「ソーシャルBPM」「コンテキスト・アウェア・コンピューティング」などが含まれる。こうした方向性が、今後10年の間でBPMが進むであろう道筋になる。