Greenplum DB活用事例
既に海外においては多くの企業がビッグデータに対する取り組みを進めていますが、その中の一例としていち早くビッグデータを活用し、結果を出している米国大手通信会社であるT-Mobile社の事例をご紹介します。
T-Mobile社における大規模分析プラットフォームの導入検討は、6年前に遡ります。当時米国でもビッグデータ分析は近年ほど注目されていませんでした。ビジネス部門ではデータの重要性を認識していましたが、IT部門がその声に十分に対応しきれていませんでした。当時はT-Mobile社に限らず、他の米国企業も同様でした。その後、T-Mobile社のビジネス部門は直接ビッグデータ分析をしたいと思うようになりましたが、IT部門は最適なDWHソリューションをなかなか見出せずにいました。当時DWHソリューションがなかったわけではないのですが、ビッグデータに対応可能なDWHソリューションを探していたのです。
そこで、T-Mobile社は、3,400万人の顧客データ分析を可能にするGreenplum DBに注目し、2009年から2010年にかけて、Greenplum DBをベースとした1ペタバイトを超える大規模なデータを扱う分析システムが構築されました。
その決断は、非常にいい結果をもたらしました。従来の他社DWHと比べてコストは3分の1、構築期間は従来の2分の1と非常に短期間でした。T-Mobile社は当初から1ペタバイトを超えるビッグデータ分析を行ったわけではなく、まず手を付けたのはいくつかの仮説をサンプリング・データや部分的なデータで検証し仮説の確からしさを確認することでした。比較的小規模なデータを対象にしたトライアンドエラーの仮説検証を繰り返すことで仮説を精緻化し、完成度の高まった仮説を最終的に全データを用いて検証することで、従来得られなかった顧客行動パターンの発見に結びつけました。このようにしてビジネス部門が求めるビッグデータ分析環境を構築し、ビッグデータ分析から数々の成果を上げていきました。
T-Mobile社では当時契約者の競合他社への乗り換えを非常に重要な問題と捉えており、早急に有効な対策を講じることを必要としていましたが、この契約者の行動の分析に新しいプラットフォームを利用しました。2週間の分析の結果、ソーシャルな繋がりの強い契約者グループの中である一人が事業者を乗り換えた場合、同じグループの契約者は一般的な契約者と比較して7倍も高い確率で乗り換えが起きていることが判明しました。この分析をもとにT-Mobileは事前に優遇キャンペーン等をピンポイントで打つことが可能になり、経営上の多大な恩恵を受けることができました。