SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

DB Press

存在感を増すオープンソース高可用性(HA)クラスタ/LINBITと総代理店契約を締結したサードウェアにLinux-HAの現状を聞く

近年、障害時のデータ保護やサービス継続の観点から、冗長性を備えた高可用性クラスタがさまざまな方面で注目されている。一方で、コストダウンもまた重要な観点であり、結果的にオープンソースソフトウェアでHAクラスタを実現する「Linux-HA」への関心が高まっている。この10月4日にオーストリアLINBIT社と「Linux-HAサポート」における国内総代理店契約を締結した株式会社サードウェアの久保元治代表取締役社長と大塚和彦営業部マネージャーに、Linux-HAの現状を聞いた。

Linux-HAを構成するソフトウェア

 ひとくちに「Linux-HA」といっても、そういった名称の単一のソフトウェアが存在するわけではない。LINBIT社(およびサードウェア)が提供する「Linux-HAサポート」では、クラスタソフトウェアとしてHeartbeatとPacemaker、レプリケーションソフトウェアとしてDRBD、この3種のソフトウェアで構成される。

Heartbeat クラスタの基盤を提供するソフトウェア。クラスタを構成するノード(コンピュータ)間でハートビート信号を定期的に送受信し、ノードの状態を把握・管理する。2008年にPacemakerが分離後、現在の3.0系はLINBITがメンテナンスしている。
Pacemaker クラスタ上で動作するリソース(サービス、IPアドレス、データへのアクセスなど)を制御するソフトウェア。もともとはHeartbeatのCRM(Cluster Resource Manager)部分を、メンテナのAndrew Beekhof(アンドリュー・ビーコフ)氏が分離独立させたプロジェクト。クラスタ基盤としてHeartbeatのほかcorosyncもサポートする。なお、現行ロゴは日本のLinux-HA Japanプロジェクトによるもの。
DRBD Linuxカーネルモジュールで動作する分散複製型ブロックデバイス(Distributed Replicated Block Device)。データをリアルタイムでセカンダリノードにレプリケートし、あたかもネットワーク越しのRAID 1のように動作する。クラスタシステムとしてはHeartbeatなどの管理ソフトウェアと共に使用する。ブロックデバイスのため、XenやKVMといった仮想化技術とも組み合わせることができる。LINBITオリジナルのオープンソースソフトウェア製品で、DRBDのチーフ開発者であるPhilipp Reisner(フィリップ・ライスナ )はLINBITの共同CEOでCTOも兼任している。

 例えば、Heartbeat+Pacemakerによるシンプルな2ノードのクラスタは下の図のように構成できる。データは共有ディスクを利用せず、DRBDがそれぞれのHDDをネットワーク越しであたかもRAID 1のようにリアルタイムでミラーリングする。比較的小規模なシステムならこの構成が単一障害点を持たないので原理的に優位であり、初期コストも抑えられる。

 クラスタは信頼性が問われるシステムのため、従来は商用システムが有利だった。一方でHeartbeatもすでに10年以上の歴史があり、DRBDも20万ダウンロードの稼働実績がある。さらにOSSのためローコストで実現できることから、サービスの継続性やデータ保護のためクラスタの導入を検討しはじめた企業が目を向けはじめている。

株式会社サードウェア 代表取締役社長 久保元治氏
株式会社サードウェア
代表取締役社長
久保元治氏

 久保氏は次のように語る。「ストレージも必要でソフトウェアのライセンスを買わなければいけないとなると、安く見積もっても一式で5百万から1千万というコスト感になる。そこまでのコストはかけられないということで、諦めていた用途がたくさん眠っています」。

 「今までならシングルサーバーでバックアップさえ取れていればよかったシステムでも、去年あたりから障害時にもサービスを継続していこうという動きがかなり高まっています。仮想サーバにすることで台数が増えるため、商用製品ではコストが肥大化してしまうという相談をいただくこともあります」(大塚氏)。

 また、3月に震災があったことで、データ保護と災害対策の機運が高まったこともある。6月3日に開催されたLinux-HA Japan第2回勉強会では、DRBD proxyを利用した遠隔地レプリケーションなど「Linux-HAとディザスタリカバリ」について、サードウェアのエンジニアの岩崎のぼる氏がトークしている。

次のページ
活発なコミュニティ活動

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
DB Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

毛利勝久(モウリカツヒサ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3571 2011/11/14 00:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング