活発なコミュニティ活動
ちょうど勉強会の話題になったが、Linux-HAの人気は活発なコミュニティ活動からもうかがえる。オープンソースソフトウェアでは、いくら企業が盛り上げようとしても、コミュニティに人が集まっていなければなかなか普及しないのが実情だ。その点、Linux-HAではサードウェアほか関連企業のエンジニアもボランティアで参加する「Linux-HA Japan」が活発な活動を展開している。
Linux-HA Japanの活動の中心は2007年にスタートしたメーリングリストだが、今年に入って1月から2~3ヶ月おきに開催されている勉強会が毎回100人前後の参加者を集めており、非常に盛況だ。前回9月16日の第4回Linux-HA Japan勉強会で司会を務めた赤井誠氏(MKTインターナショナル)も、「日本でトップに入るくらい盛り上がっているコミュニティ」と太鼓判を押す。
参加者が多いだけでなく、「何十人と集まる勉強会ですが、中身は非常に固い。入門編をやろうと言ってても案外難しい話になったねということが多い」(久保氏)、「参加したひとしか手に入られない情報があるので、毎回とても勉強になります」(大塚氏)と内容も充実している。
なお、前述の3ソフトウェアに加えてLinux-HA Japanでは、Heartbeatを代替可能なクラスタエンジンCorosyncも対象としている。オープンソースのHAクラスタでは、こういったソフトウェアを組み合わせて構築することになるため、バージョンなどよる違いがわかりにくかったが、コミュニティの活動もあってこの数年で関係性が整理されたことも、普及のはずみになっている。
ところで、第4回の司会は前述のようにOSC(オープンソースカンファレンス)などでお馴染みの赤井氏だったが、その前回にあたる7月1日には声優の〈橋本まい〉さんが特別司会を務めた。なぜオープンソースの勉強会で声優さんが? とおもわれるかもしれないがこれは不思議でもなんでもなく、PacemakerやDRBDを応援するLinux-HA Japanオリジナルの美少女キャラクターが出演する「かんたんペースメーカー入門」という動画が制作されているためだ。また、クリアファイルなどのグッズも作成されている。
こうしたコミュニティの状況には、OSSが普及しはじめるとき特有の「トキメキ」があると久保氏は見ている。「LinuxもPostgreSQLも、最初は動いただけで新鮮な驚きがありました。商用ソフトウェアが当たり前だったところにOSSが入ってきて、動かしてみたら動く! ただそれだけで人がたくさん集まる。そうやって、Linux-HAも当たり前に選択されるツールになりつつあると感じています」。