iPhone/iPadの人気により、アプリケーションビジネスへ注目が集まっている。書籍やゲーム(アプリ)だけでなく、音楽/映画など、すでに進展していた「パッケージからデジタル配信へ」の流れが本格化している。フリージャーナリスト西田宗千佳氏のセッションは、モバイル系ビジネスの中で、そうした新しいコンテンツビジネスがどのような変化にさらされるかを考察するものとなった。2011年11月25日に開催されたmobidec2011(主催:翔泳社、MCF)のセミナーの概要をレポートする。
デバイス、ビジネス環境の変化を理解し新たな展開へ

スマートフォン、iPhoneの時代になって、何が変わったのか。西田宗千佳氏がもっとも注目しているのが、コンテンツ販売モデルの変化だ。iモードやEZWebの公式コンテンツでは、基本的にキャリア側のコントロールが存在している。ビジネスの主体はコンテンツの中身だけではなく、回線の状況やキャリアの意向を加味したビジネスモデルであったといえる。同時に、キャリア課金によるビジネスが上手く回っていた。
それがスマートフォン時代では、基本的に配布されるアプリやWebサービスは、トラフィックコントロールとは無縁の状態にある。そのため、サービス作成の自由度が上がるが、その半面、ネットワークへの負荷が高まっていく。また、課金形態が多彩化することで、従来の価格設定の常識に、必ずしもとらわれる必要が無い。現状では、iOSのコンテンツが金額ベースでAndroidの10倍売れているが、1500~3000円のコンテンツでも売れている。つまり、公式アプリ中心の時代とは、ユーザーの意識が変わってきていると考えていい。その一方、通常の無料Webサービスと競争することになる。そのため、課金までの敷居が上がることになる。
今後の携帯ビジネスにおけるデバイスは、スマホだけでなく、タブレットにも注目すべきだ。現在売れているのはiPadが中心だが、西田氏は来年以降、他機種も売れ始めると見ている。タブレットはスマホ以上にコンテンツを「見る」コンピュータという性格を持つ。そこで「ディスプレイのマジックナンバーを強く意識すべき」というのが西田氏の主張だ。PCの普及が始まったころ、個人用プリンターは解像度が低く、文字はぎざぎざだった。そのクオリティが上がっていき、商業印刷レベルになっていった。そのときのマジックナンバーが、ドットを認識できなくなる300dpiだ。つまり、タブレットが300ppiに近づくと、ユーザーのコンテンツの受け取り方が変わり、需要が増大するというわけだ。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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