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Webモニタリングの種類
Webモニタリングは「有人監視」と「自動収集」の2つに分けられます。「有人監視」は、文字通り、生身の人間が目視で監視します。一方、自動収集では、ITによる収集が行われます。
それぞれの得意分野は、下記の通りです。
【自動収集が向いている分野】
→風評被害を早期発見・防止したい
【有人監視が向いている分野】
→情報漏洩を検知したい
→公式アカウント等の発言を管理したい
【有人監視・自動収集の両方が向いている分野】
→危険発生時の世論を把握したい
有人監視と自動収集ではどちらがより効果的かと聞かれることがありますが、どちらがよりすぐれているということではありません。目的に併せてうまく使い分けていくことが必要です。
現在トーマツで提供しているWebモニタリングサービスを例に、具体的な活用事例を見ていきましょう。このWebモニタリングサービスは、実際に大手製造業をはじめとする複数の企業に導入されています。(サービス詳細はこちら)
事例1:虚偽の書き込みによる炎上防止―情報開示マネジメント
こんな内容の虚偽の情報が広がったとしましょう。
丸の内食品は、反社会的勢力に業務を委託している
こうした書き込みを発見するのには自動収集が向いています。自動収集では、キーワードに応じた記事を自動収集サイトごとに分類。収集したデータの記事量の推移を自動でグラフ化します。
実際に見てみましょう。
収集キーワードセットには8つのキーワード+多数の除外ワードが設定できます。
キーワードには、収集と絞り込みの2種類があり、それぞれのグラフを生成するようになっています。たとえば、丸の内食品の場合、企業名である「丸の内食品」、商品名である「梅昆布ゼリー」、名物社長として知られる社長の名前「丸山丸男」、ライバル企業の「亀山食品」等を設定します。除外ワードとしては、大量なスパムデータになる可能性の高いアフィリエイト広告を除外するための「200g×5パック化粧箱」や、コマーシャルに関する投稿を除外するための「CM」やコマーシャルに起用している芸能人「星野すみれ」などを設定しておきます。絞り込みワードは、さらに絞り込みたい語句です。「情報漏洩」「反社会的勢力」「食中毒」「行政指導」等が挙げられます。
対象サイトごと、絞り込みワードごとにそれぞれグラフを生成してくれます。
たとえば「★★反社の丸の内★★丸山取締役は中央会の舎弟!」のようなスレッドが立ち上がり、集中的な書き込みがあったとします。グラフには、その部分だけが異常値をあらわれているのがわかりますね。これが炎上の予兆かもしれません。すぐに沈下してくれれば問題はないのですが、いったん鎮まったように見えても数日後に爆発することも珍しくありませんので担当者は警戒を怠ることができません。
次回詳しくお話しする予定ですが、虚偽の書き込みや、悪質な誹謗中傷に対しては、法的な手段を講じて削除申請をすることも視野に入れて準備をしておきます。
このように自動収集では、対象サイトごとに、内容をアーカイブし、収集キーワードに基づいて収集、さらに絞り込みキーワードに基づいてフィルタリングを行います。膨大な量の記事をカバーできるのがメリットですが、さらに、この段階で収集したデータを「読む」ことは人間が行わなくてはなりません。