日本マイクロソフトは7月17日、次期Microsoft Officeのカスタマプレビューを公開した。英語版、スペイン語版、日本語版が用意されており、マイクロソフトのサイトから無償でダウンロードできる。日本マイクロソフト 業務執行役員 Officeビジネス本部 本部長 ロアン・カン氏は「ダイナミックに変化する世界の流れにあわせて、Officeもまた時代にあわせた製品へと進化する。キーワードはマルチデバイス、クラウド、ソーシャル」と語る。
次期Officeは、10月末に正式版のリリースが予定されているWindows 8に最適化させたOfficeとして登場する。つまりWindows 8と同じく次期Officeもマルチデバイスに対応しており、マウスやキーボードといった従来のインタフェースはもちろん、タッチやペン入力、インライン入力などでも快適に動作する「直感的なデザイン」(カン氏)が特徴だ。メールを見ながらタッチひとつでスケジュールに移行するなど「ビジネス中の思考の断絶を防ぐ」(カン氏)ことにフォーカスした仕様になっている。
また、WordやExcelなどで作成したコンテンツのデフォルトの保存先はSkyDrive(商用ユーザーあればSharePoint上のクラウドサービス)となっているが、これは「どこからでも、どのデバイスからでも最新のコンテンツにアクセス」できることを優先したため。もちろんオフラインでの使用も可能で、次にネットにつながったときに自動で同期する。
もうひとつ特筆すべきは、YammerやSkypeを取り入れた"ソーシャル機能"だろう。先月、12億ドルで買収を発表した企業向けソーシャルネットワーク企業のYammerをマイクロソフトがどう自社のポートフォリオに組み込むかに注目が集まっていたが、次期Officeのソーシャル機能としてまずは提供されることになる。Yammerは現時点で、SharePointおよびDynamicsとの統合機能が提供されているが、今後はYammerを通じたこれらの製品とOfficeとの連携もポイントになる。また、同じく買収した企業の技術であるSkypeがようやくマイクロソフト製品に取り込まれたことも注目される。次期OfficeではSkypeアカウントをもっているユーザに対し、Officeを使って電話をかけたり、IM(インスタントメッセージ)を送信することができるようになっている。
次期Officeのカスタマプレビューにおける日本向け主要エディションは以下のとおり。
・Office Professional 2013プレビュー
個人ユーザ向けエディション。Word、PowerPoint、Excel、Outlook、OneNote、Access、Publisherが含まれる
・Office 365 Small Business Premiumプレビュー
中小企業向けエディション。Word、PowerPoint、Excel、Outlook、OneNote、Access、Publisher、Lyncが含まれる
・Office 365 ProPlusプレビュー
大企業向けエディション。Word、PowerPoint、Excel、Outlook、OneNote、Access、Publisher、Lyncが含まれるほか、旧バージョンのOfficeの並列サポート、エンタープライズレベルのセキュリティおよびIT統制の実現など
エンタープライズ向けのエディションでは、たとえば社内コンプライアンスに適応していないメール(ルールに反する文字列が含まれているなど)は送信できない、SarePointとExchangeの横串検索を可能にするなど、セキュリティやコンプライアンスなどに最大限配慮した仕様になっている。
「日本市場はOfficeにとって世界でも最も重要なマーケット」とカン氏。カスタマープレビュー版で日本語版が用意されたのもマイクロソフトにとって日本市場がいかに重要かを示しているという。マルチデバイス、クラウド、ソーシャルに対応した新しいOffice。Windows 8とあわせてどんなユニークなユーザエクスペリエンスを提供するのか、その実現はもうすこし先になる。