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妹尾堅一郎氏が語る「ビジネスモデル乱世に生き残る条件」

ジョブズは織田信長だ

 このやり方を、私は「織田信長流」とよんでいます。織田信長は領界を区切った。そして真ん中に「楽市・楽座」を作って全国から人や物資を集めて市場を繁栄させた。まったく同じです。たぶんスティーブ・ジョブズは織田信長の話を読んでいたにちがいない(笑)。ジョブズと信長って、性格も似てるでしょう? 素晴らしいと絶賛したくなるけど、実は絶対上司にはしたくないタイプ。殺されるかもしれない(笑)。

―ジョブズの伝記には、信長の話はありませんけどね(笑)。

妹尾 私はそういう読み方をしています。アップルのやり方に、今マイクロソフトやグーグルが近づいてきて、似たような動きを始めた。つまり垂直統合とオープン&クローズの組合せです。こうした複合的なやり方同士の戦いになってきています。アップルが変えたのではなく、外側の企業がアップルを真似てきている。マイクロソフト、グーグル、インテルなどが、自分たちの得意な領域から垂直統合と複合的な生態系づくりを始めた

 ただし、収益の源はそれぞれが得意なところに置こうとしています。だから、垂直統合同士の戦いとはいえ、その重点レイヤーが異なるので、ことは複雑で流動的になってきているのです。恐ろしい戦いになってきたと思いますが、ようやく皆さんも、こういう話を真剣に聞いてくださるようになってきたことは有り難いことです。昔こういう話をした時に、多くの経営学者から批判されました。「iPod の部品の大半は日本製だ」「音質はウォークマンの方が良い」とか。

― 以前はiPod はハードではなく、サービスこそが収益源だという見方もありましたが、蓋を開けてみたらiPhone/iPod の利益率が驚くほど高かった。ものづくりでもアップルは優っていた。またマイクロソフトがSurface、グーグルがNexus など自社のハードを出す戦略にシフトしてきているように見えます。

妹尾 ただ、そこで気をつけなければいけないのは、全体の価値形成と収益を上げる価値形成は別に考えた方が良いということです。サービスも加えて、価値形成の仕組みを作っておいて、ただし収益源はそれぞれの領域に持ってくる。

 マイクロソフトもグーグルも全体の価値形成は同様に作って、収益構造はどこにするかを別に設定している。それぞれ違います。各社がハードウェアが儲かるので、そちらに移行するのではという見方もありますが、私はそうは言い切れないと思います。グーグルはグーグルの、マイクロソフトはマイクロソフトの収益モデルを作るために、あえて全体のビジネスモデルを再構築しているという見方をしています。全体の価値形成モデルの話と自社特有の収益モデルの話はもちろん関連していますが、各社の思惑とコンピテンシー(得意)があるので、それらは分けて見た方が良いでしょう。

 ところで、スティーブ・ジョブスは天才だったと思いますが、ティム・クックも恐ろしいですよ。私は秋葉原に拠点を置いていますから、店頭でのiPhoneの売られ方を観察しているとよくわかる。新型が出るときには、量販店にインセンティブを与えて売りまくる。しかし、絞るときには市中在庫がなくなるまで絞り切る。中国の生産状況と秋葉原の在庫状況をつないで、在庫と生産と販売のバランスを絶妙にとっています。ソニーやパナソニックにはこうしたオペレーションは無いので、型落ち品が出回ってしまうし、値崩れが起こる。ティム・クックがジョブズの下でCOO になってから、アップルのオペレーションは変貌したと秋葉原の連中は言います。つまり彼らは、垂直統合をおこないながら収益源はそれぞれのレイヤーで緻密にコントロールしている。こうした統合した戦略を解析した方が良い。

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業種ではなく「業態」で捉える

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

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