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開発と運用の壁をなくす「DevOps」とは?

■IBM Rational「Innovate 2012」レポート


ネット企業を中心に、開発シーンに取り入れられてきた考え方「DevOps」。この考え方が、従来型の企業の間でも注目を集めている。なぜ、今DevOpsが注目を集めるのか?現在の企業ITが抱える問題点を明らかにするとともに、DevOpsを実現するソリューション「IBM Smarter Cloud Continuous Delivery」をIBM ラショナルアジアパシフィック CTOの上村務氏が「Innovate 2012」の講演で紹介した。

開発部門と運用部門の間の壁を取り払う手段「DevOps」

IBM ラショナル アジアパシフィック CTO
上村 務氏
IBM ラショナルアジアパシフィック CTO 上村 務氏

 「2009年に開催されたO'Reilyによる国際会議で、写真共有サイトのFlickrは1日10回リリースを実現していると報告され話題となった。新しいサービスをどんどん提供できたのは、DevOpsという考え方を取り入れているからだ」(上村氏)。

 もちろん、Flickrだけではない。FacebookやeBay(インターネット通信販売)、Netflix(オンラインDVDレンタル会社)、Etsy(ECサイト)、淘宝網(タオバオ:中国系ECサイト)など、非常に速いスピードで新しいサービスを提供している会社は、DevOpsを採用していると上村氏は説明する。

 DevOpsという考え方はどのように普及し、これらの企業に取り入れられるようになったのか。上村氏は普及してきた過程を次のように説明する。

 2008年にO'ReilyによるWebの性能や運用に関するVelocityという国際会議において、PuppetやChefという運用自動化のツールが紹介されたことから始まる。そして2009年ごろからITベンチャー企業やITマネジメント協会、オープンソースコミュニティ、クラウド業界、アジャイル・コミュニティなどで、開発と運用を連携し、一体化した形で開発を進めるという考え方に注目するようになった。

 この開発と運用が一体化した形で進めるという考え方に「DevOps」という名前をつけたのは、ITコンサルタントのPatrick Dubois氏である。以降、「DevOps Day」というイベントが世界各地で定期的に開かれるようになり、DevOpsという考え方が普及。2012年5月には東京でも「DevOps Day」が開催され、多くの来場者を集めた。

一般企業にもDevOpsを適用する動きが登場

 「最近になって、DevOpsという考え方を一般の企業にも広く適用しようという動きが出てきた」と上村氏は指摘。IBMをはじめ、HP、OracleなどのIT企業もDevOpsに関する情報を積極的に発信しており、「先駆けとなる適用事例も出始めている」(上村氏)。

 なかでも、DevOpsがエンタープライズ分野でも注目されているいちばんの理由は、「開発から運用までの時間がかかり過ぎていることだ」と上村氏。2011年にIBMが大手の調査会社に委託して行ったサーベイによると、修正を入れたバージョンをユーザーが使えるようになるまでに要した平均的な時間は4~6週間になるという。冒頭で紹介したFlickrと比較すると雲泥の差だ。

図:開発から本番環境での運用までの距離

 その他にも先述のサーベイからは、「70%の予算が保守に費やされている」「65%のお客様が自動化の欠如によりソフトウェアのリリースが遅延すると感じている」「39%のアプリケーションはデプロイ(利用可能な状況にすること)に1~7日かかる」「37%のプロジェクトが予算オーバーする」などの課題があることがわかった。

 「これらの課題は、開発と運用が連携することで解決できる。つまり開発と運用の溝を埋める方法としてDevOpsは期待されている」(上村氏)。

図:開発運用の連携―DevOpsがチャレンジするITの課題

次のページ
DevOpsの利用が期待される3つの場面とユーザー事例(金融&保険会社)

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

教育大学卒業後、大手化学メーカーに入社。その後、ビジネスや技術に関する専門雑誌や書籍を発行する出版社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランスライターとして独立。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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