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“生活者発想”の「オープン・サービス・イノベーション」によるビジネス創造

オープン・サービス・イノベーションに必要な“専門能力”と“規模と範囲の経済性”

(第3回)

前回は、「オープン・サービス・イノベーション」の4つの基本コンセプトのうち「ビジネスをサービスとして考える」「顧客との共創」について紹介した。今回は「オープン・イノベーション」「ビジネスモデルの変換」について解説する。

サービスにおけるオープン・イノベーションに必要な“規模の経済性”

図1:オープン・サービス・イノベーションのコンセプトマップ
 
本稿で使用した図表は、ヘンリー・チェスブロウ著   
   『オープン・サービス・イノベーション』阪急コミュニケーションズ刊より引用

 サービスにおける「オープン・イノベーション」とは、サービス分野で使われる外部のアイデアや情報にアクセスし、内部の使われていないアイデアや情報を、外部の他のサービス分野で使ってもらうという重要な役割を担っている。サービス分野でのオープン・イノベーションを成功させるには、専門的な能力と範囲と規模の経済性の効力の利用が不可欠だ。また自社単独でなく、より多くの個人や企業に関わってもらうことで、価値の高いビジネスを提供するエコシステムが形成され発展していく。

※「オープン・イノベーションとは?」については、連載第一回目の記事をご覧下さい。

規模の経済性は、サービス・イノベーションに二つの面で寄与する

 第一の貢献は、サービス・イノベーションで必要となる固定の経費や資産などを、分散させることで単位あたりのコストを低減させることである。サービス提供に欠かせない情報を入手、蓄積、検索、使用するときに必要な資産の多くは「固定投資」を必要とする。このため、より多くの規模を対象にしたサービスであれば費用が分散され、資産取得のための固定費の重みは減り、取引数や使用頻度が増えるにつれ、共用効果でそのコスト単位は逓減する。

 第二の貢献は、取引そのものやサービスが利用されることで蓄積された知識の恩恵から生まれる。アマゾンで書籍を購入すると、同じ本を買った人が他にどんな本を購入したかを教えてくれる。どこよりも多くの書籍販売を扱っているので、消費者の購入動向を最もよく知っているのがアマゾンなのだ。購入者が増えると、取引データも増え、アマゾンは他社より知識を増やしていく。

 知識を基盤とした規模の経済性には見逃せない特徴がある。固定資産と違って、知識の活用によって資産が消費されたり、価値が下がったりすることはない。むしろ使用すればするほど知識が多くなる。経済学者のポール・ローマーは、これを「非競合財」と呼ぶ。生産能力に限界が訪れる製造工場と違って、知識における「規模の経済性」は無制限に蓄積されるため、より多くの知識を持つことのほうが絶対に有利なのである。

 自社のアイデアや技術を他社に共有し使ってもらう「インサイド・アウト型のオープン・イノベーションの利点」は、規模の経済性にある。自社の技術の利用回数が増え稼働率が高まれば、改善が行われる。すると、プロセスの開発費用が分散されてコストが下がったり、他のビジネスへの適用を考えるきっかけとなり、知識が蓄積されたりする。これは自社のみで利用している場合には得られない利点である。

※「インサイド・アウト型のオープン・イノベーション」に関しては、連載第一回目の記事で詳しく解説しております。

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サービスにおけるオープン・イノベーションに必要な “範囲の経済性”

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この記事の著者

高松 充(タカマツ ミツル)

  株式会社TBWA博報堂 CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー) Human Centered Open Innovation(HCOI)事業の統括責任者。 博報堂にて営業職、在米日本大使館駐在を経て、経営企画職を経験。 博報堂DYグループの社内ベンチャー制度の審査委員な...

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