ビジネスサイクルの溝を埋める「ビジネスアーキテクチャー」というアプローチ
欧米には、エンタープライズアーキテクチャーやビジネスアーキテクチャーに関する標準化団体やコンサルティングおよびトレーニングサービスを行っている事業体が数多く存在します。そのうちの1つであるエンタープライズアーキテクチャー・エグゼクティブカウンシルによる調査「Business Architecture in Practice(2009年)」によれば、(1)64%のビジネスの失敗は間違った戦略から引き起こされている、(2)半数以上のビジネスプロジェクトが失敗している、(3)1/3の事業体が年間戦略計画において期待される結果を達成していない、と報告しています(図1)。競争環境の激化と顧客需要の絶え間ない変化が起きている今日、各ビジネスサイクルの間の溝を埋め、連携を強化していく斬新的なアプローチとして「ビジネスアーキテクチャー」が大きくクローズアップされています。
ところで、前回は事業戦略を中核としたビジネスアーキテクチャーの3つの層の関係についてご説明いたしましたが、さらに大きな観点から3つの層の関係を見ていきましょう(図2)。事業体が持続可能な成長をしていくためには、有効なビジネス計画に基づく独自のビジネスモデルを構築していくとともに、ビジネス環境の変化とその影響を検知し、適切な戦略を実行できるような体制を構築していかなければなりません。私たちの提案するビジネスアーキテクチャーは、このような実践のための包括的かつ基礎的なフレームワークを提供するものです。