はじめてPostgreSQLを触ったときに感じた「懐かしさ」
人並み外れた関心と情熱でデータベーススキルを究めた亀山さんではあるが、データベース業務を純粋に楽しめない時期があった。微妙なギャップが生じていたようだ。亀山さんはいわゆる“アーキテクト”や“コンサルタント”ほどのスキルを保有していたが、それが求められるようなソフトウェアベンダーやSIerの人間ではない。将来のキャリア方向性への迷いと周囲とのスキルの差などが漠然と絡み、迷いにつながったのかもしれない。
そこで一時的にデータベースから離れ、基盤システムの業務に携わることにした。当初数ヶ月は事務手続きばかりとなり、このままデータベースだけではなく技術的な業務からも離れ、企画や営業が中心になるのだろうかとも感じた。今だから言えることだが、一瞬転職も頭をよぎったという。
しかしそうした状況は長く続かなかった。大型案件の受注が立て続けに決まったことでデータベース設計の専門家が急きょ必要となり、亀山さんが割り当てられた。データベースから遠ざかったかと思いきや、強い力で引き戻されたようなものだ。これも運命だろうか。ここでデータベースの企画と開発を兼務しつつ、受注したシステムの移行や基盤フレームワークなどに携わった。
受注案件が一段落ついたころ、現行の職に就くことになった。社内業務の支援、顧客への提案、設計、構築、移行などの支援などを行う部署だ。特にデータベースの技術を強化するため、亀山さんが呼ばれた。
現状は商用データベースとOSSデータベースを扱う割合は半々ほど。しかし、新規は圧倒的にOSSデータベースが採用されることが多いという。社内だけではなく顧客にも変化が出てきた。
「これまでお客様は『(データベースは)なんでもいいから(システムを)作って』とデータベース製品には特に指定はありませんでした。しかし最近では『データベースは何にしますか?オープンソースのデータベースにしませんか?』と聞いてくるお客様もいます」(亀山さん)
これを聞いて筆者は患者が医者に「ジェネリック医薬品はありますか?」と尋ねる姿を想像した。必要な効果が変わらないなら、値段の安い後発医薬品のほうがいいという考えだ。OSSを医薬品にたとえるのは語弊があるが、当たらずとも遠からずなのか亀山さんは笑って聞いていた。
余談だが、PostgreSQLを最初に触ったときはちょっとした衝撃があったそうだ。初めて出会ったデータベースInfomixによく似ていたのだ。「すっごく似てる!」と旧友に再会するかのような懐かしさがあった。それもそのはず。InfomixもPostgreSQLも源流は同じ。きょうだいのような存在なのだ。