集中から分散、そして集中に向かうアーキテクチャ
筆者が大学を卒業してIT業界に入ったのは、1987年でした。まだメインフレームが全盛ともいえる時代で、Unixのワークステーションやパソコンが安価になり始め、ビジネスへの適用が始まったころです。当時、筆者が秋葉原でボーナスを叩いて購入したMacintosh Plusは、なんと40万円もしました(メモリはたったの1MB)。
まだまだパソコンは高価な機器で、一部のマニアには受け入れられていたものの、とても普及しているとは言えない状況でした。しかしその後、パソコンの価格性能比が何倍も上がり、IBM/AT互換機が一気に普及しました。結果として、メインフレーム一辺倒だった情報システムのアーキテクチャは、Unixワークステーションやパソコンへとダウンサイジングされることになったのです。
システム構築を担うエンジニアが必要とする技術や方法論は、基本的に、その時代に採用されたアーキテクチャに依存します。下図に、1970年代から2010年代にいたるアーキテクチャや設計技術などの変遷を示します。
1980年代は、ワークステーションやパソコンが急速に普及し、バブル景気の後押しもあってメインフレームからのダウンサイジングが大いに盛り上がりました。そして、1990年代後半からインターネットの普及とともに、Web型のシステムが脚光を浴び、現在はクラウドの時代です。インフラの標準化やアプリケーションサービスのモジュール化が進展し、巨大なデータセンターで運用管理されたシステムの一部を、ユーザーは必要なときに必要なだけサービスとして利用することができます。メインフレームからオープン、クラウドへの流れは、集中から分散、そして集中へ回帰しているとも言えるでしょう。