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参加型デザインとしての「アイデアソン」をイノベーション創出に活用する

(第14回) 

ソフトウェア開発の分野では、ハッカソンとセットで行われることもある「アイデアソン」。このオープンに参加者を募って実施するアイデア創出の場は、新しさを生み出す源泉として「多様性」を必要とするイノベーション創出の場面でも、役立てることができます。今回はイノベーションの創出という観点からみたアイデアソンの活用について紹介します。今までの記事は、こちら。

イノベーション創出につなげる「アイデアソン」

 イノベーションの創出には多様性が必要だとよく言われますが、そのためにはイノベーションの創出を目論む現場が組織の外に向かってオープンになることが求められます。その点では、イノベーション創出のプロセス自体を組織の外に対してオープンにし、ターゲットとなる顧客や利用者などを含めた“価値提供に関わるステークホルダー”を巻き込みんでいきます。このようなイノベーション創出のための作業を行う「参加型デザイン」と呼ばれるアプローチが、多様性を重視したオープン・イノベーションの1つの方法といえるでしょう。

 参加型デザインのアプローチを実際に現場に組み込むための方法の1つとしては、「アイデアソン」を利用するやり方があります。

写真1. 壁にアイデアを貼り出し共有するアイデアソンの1コマ(by OpenCU

 アイデアソン(Ideathon)は、アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を合わせた造語です。集まった参加者がいくつかのチームに分かれて、あらかじめ定められたテーマに関するアイデアを対話や共同作業をするなかで出し合い、それをまとめていくワークショップ形式のイベントがアイデアソンです。

 ソフトウェア開発の分野で行われる「ハッカソン」とも似ていますが、すこし違います。ハッカソンが1日から数日かけてチームでの共同作業で実際に使えるソフトウェアを開発するのに対して、アイデアソンは共同作業でのアウトプットはあくまでアイデアであり、2~3時間程度で行われることが多いというのがその違いです。

 また、アイデアソンの場合、特に開発スキルなども問われないのでハッカソンなどに比べて参加のハードルも低く、テーマに対する関心さえあれば誰でも参加しやすいのが特徴です。ハッカソンでも同様ですが、アイデアソンでは基本的にテーマに関心をもった参加者をオープンに募集しますので、多様な人たちを集められるところに魅力があります。

 この参加者をオープンに集めて実施するアイデアソンが、イノベーション創出の現場で役立つのはどんな点でしょうか。アイデアソンの主なメリットは2つあります。

次のページ
イノベーション創出という観点からみたアイデアソンの2つのメリット

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この記事の著者

棚橋弘季(タナハシヒロキ)

棚橋弘季(たなはしひろき) 株式会社ロフトワーク所属。イノベーションメーカー。デザイン思考やコ・デザイン、リーン・スタートアップなどの手法を用いてクライアント企業のイノベーション創出の支援を行う。ブログ「DESIGN IT! w/LOVE」。著書に『デザイン思考の仕事術』 など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4689 2013/04/11 08:00

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