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新規事業計画に役立つ「経営分析・管理会計」の考え方・活かし方

新規事業を考える際に「安全性」の考え方をどう活かすのか?

(第5回) 

第3回の記事で事業の収益性が、経営戦略の違いを判断するために必要であること、前回の記事で新規事業計画における計数計画の流れを示し、収益性の目標設定が計数計画のスタートであることを示しました。財務分析のスキルが計数計画に不可欠であることをご理解いただけたでしょうか。今回は、収益性分析と並ぶ財務分析の2本柱である安全性分析を計画策定でどのように活かすかについて、ポイントを紹介します。まず安全性分析の内容を確認したあと、1.設備の財源をどうするか、2.短期の安全性の視点を考慮するとは、3.株主からの資金調達で注意すること、を考えてみましょう。(今までの連載はこちら)。

安全性分析とは「企業の支払い能力」を見る指標

 安全性分析は、企業の支払い能力を判断することを主眼としています。その内容は、一定時点(会計年度の最終日)の分析と、一定期間の分析に分類することができます。一定時点の分析では、主に貸借対照表を中心に分析しながら、短期の支払い能力長期の支払い能力借金体質の3つの視点で分析していきます。一定期間の分析では、キャッシュフロー分析が中心になります。

 図表1.財務分析の体系-安全性分析    

 特に貸借対照表を中心とした一定時点での分析のコツを理解することで、新規事業計画に活用する方法を紹介します。短期の安全性では、流動比率(%)当座比率(%)、長期の安全性では、固定比率(%)固定長期適合率(%)、借金体質の分析では、自己資本比率(%)に関して理解を深めましょう。これらは安全性分析の代表的な指標で、新規事業計画に欠かせない資金調達の考え方を理解するのに役に立ちます。まずこれらの指標の基本的な考え方から説明しましょう。

図表2.短期の安全性の考え方                        

短期の安全性指標(1):流動比率

 流動比率は、流動資産と流動負債を比較する指標です。流動資産÷流動負債×100(%)で計算し、150%以上必要です。流動資産は、流動負債の1.5倍以上必要と考えた方がわかりやすいでしょう。

 ポイントは、なぜ150%以上が必要かを理解することです。流動負債は、1年以内に返済期限がくる借金です。ですから、流動負債に相当する資金(現金預金)を1年以内に用意する必要があります。

 流動資産は1年以内に資金になる資産で、流動負債の返済原資になります。よって流動負債の1.5倍くらいの流動資産(資金)があれば、流動負債を返済できる可能性は高まります。1倍では心配なので、1.5倍くらいなのです。これが流動比率150%以上の本質的な根拠です。1倍(100%)だと、何らかの原因で、流動資産の一部が資金にならない事態が起こった時に、支払いができなくなります。150%は流動資産が資金にならないリスクを考慮している証です。個々に考えれば、120%、130%でもいいのですが・・・。

短期の安全性指標(2):当座比率

 当座比率は、当座資産と流動負債を比較する指標です。当座資産÷流動負債×100(%)で計算し、100%以上は必要です。当座資産は、現金預金、売買することを前提に持っている有価証券、売上債権(受取手形、売掛金)の合計です。流動資産から、資金としてすぐに使えない在庫などを除いたものと考えてください。当座資産は、すぐに資金になる資産ですから、流動負債と同額あれば、返済原資としては十分で、返済も確実だろうと考えるのです。よって当座比率が100%以上あれば、安全性(支払い能力)は良いと判断するのです。

次のページ
「安全性分析」に欠かせない長期の安全性と借金体質を見抜く指標とは?

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この記事の著者

千賀 秀信(センガ ヒデノブ)

公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。日本能率協...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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