本当に毎日、暑い。日本はいまや亜熱帯気候になったと思うくらい、東京は湿度も高く過ごし難い。作られた冷風があまり好きでないので、なるべくエアコンは使いたくない。が、さすがにそうも言っていられない状態が続いていて、すでに夏バテ気味だ。そんな暑さが続いていた先週、リニューアルされた日本オラクルの「オラクル・ソリューション・センター」に行く機会があった。Oracle Exadataなどのエンジニアド・システムを取りそろえ、検証などを行うための施設。いわゆるデータセンターなので、さぞや涼しいだろうと思っていたが、それほどでもなかった。最近は、手がかじかむほど冷やしているデータセンターは、どうやら少ないようだ。部屋全体をとことん冷やすのではなく、冷やすべきものを効率的に冷やす。それができればマシンの稼働に問題ない範囲で、ぎりぎりまで高い温度設定にできるのだろう。
Oracle On Oracleで究極のソフトウェアの最適化を

執行役員 飯尾光國氏
この日のソリューション・センターの見学はじつはおまけ。本題は、Oracle SuperCluster T5-8の発表だった。以前はSPARC SuperClusterという名称だったが、今回から「SPARC」が消えた。「SPARCとあえて名乗らなくても、分かっているだろう」ということのようだ。
名称からSPARCはとれたが、SPARCプロセッサ版のエンジニアド・システムであることには変わりない。その中身は、先日発表されたSPARC T5-8サーバーとOracle Exadata Storageの組み合わせが基本だ。先日のSPARC M5/T5サーバー発表の際に、CEO ラリー・エリソン氏は「最大で最短のモメンタムを形成する製品だ」と言ったとか。そのT5サーバーを搭載する今回のSuperCluster T5-8は、「最速のエンジニアド・システムです」と日本オラクル システム事業統括 執行役員の飯尾光國氏は言う。
用途別となっている他のExaシリーズとは異なり、このSuperClusterは汎用的。データベースマシンのExadata的にも、アプリケーション実行基盤のExalogic的にも、さらには両方の性格を1つの筐体に共存させる構成にもできる。フルラック構成では、16コアのSPARC T5プロセッサを最大8個搭載できるSPARC T5-8サーバーを2台収容できる。16テラバイトを超えるフラッシュストレージも搭載可能で、内部ネットワークはもちろん40GbpsのInfiniBandだ。ちなみに価格は、最小構成で6,467万4000円(税抜き)。
これで目指しているのが、「究極のソフトウェアの最適化」。マシンだけが速ければいいというのではなく、その上で動くソフトウェアを、最速にするための最適化だ。そのためにOracleが進めているのが、T5/M5サーバーの発表時にも登場した”Software In Silicon”。プロセッサにソフトウェアを高速化するための機能を組み込むこと。その技術を使った最初のエンジニアド・システムが、今回のSuperCluster T5-8になる。これにより、Oracleのハードウェアの上でOracleのソフトウェアを動かせば、最大限の性能を発揮できる。これを”Oracle On Oracle”と呼び、それができるのがOracleの強味だと言う。
これまでUNIXマシンとの関わりが深かったこともあり、個人的にはOracle ExadataよりもこのSuperClusterのほうが好みだったりする。Sunとの統合効果がもっとも発揮できるのがこのSuperClusterだと思うし、もっとOracleはSuperCluster押しでも良いのではと思うところ。SPARCプロセッサの良さを、いかにして伝えられるかが鍵になりそうだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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