前回の記事では、最重要データだけではなく、その構成要素も含め日常的かつ構造的にモニタリングを行うべきことと、仮説検証手法として「カイ二乗検定」をぜひマスターし、ビジネスにおける意思決定の質を向上させていただきたいこと、についてご説明しました。今回は、本連載の最終回として「可視化」と「課題に対する結論と新たな課題の発見」について、ご説明いたします。今までの連載はこちら。
可視化の目的は「分析の内容や結果をわかりやすく伝えること」だけではない
「統計的な解釈」が完了したら、次に行うのは「可視化」です。「データの収集」から「統計的な解釈」まではデータの世界での作業が中心でしたが、「可視化」からは再びビジネスの世界での作業に戻ります。

ところで、可視化の目的は何でしょうか? 実は可視化の目的には2つあります。
1番目の目的は、「分析の内容や結果を、関係者にわかりやすく伝えること」です。

図表2はありがちな可視化の例です。正確性や厳密性にこだわるあまり、情報が詰め込まれ過ぎていて、かえってデータの関係性や何がポイントなのかが分かりにくくなってしまっています。
残念ながら人間は、膨大な量の情報をそのまま理解することはできません。そのため、人間が理解可能な量にまで情報を十分に集約する必要がありますし、また、人間が最も理解しやすい形で情報を表現する必要があります。その時に最適な手段が“可視化”なのです。「百聞は一見にしかず」です。

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- この記事の著者
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神子島 隆仁(カゴシマ タカヒト)
ITエンジニアを経て、分析コンサルタントとして、社内外クライアントの経営及びマーケティングに関する意思決定を支援。データサイエンスが、ビジネスだけではなく、よりよい社会の実現に役立つことを夢見て、活動中。
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白石 嘉伸(シライシ ヨシノブ)
マーケティング・コミュニケーションの可能性に興味を持ち、デジタルマーケティング(調査分析、行動データからのインサイト発掘、マーケティングの自動化など)のプランニングや支援を行う傍ら、その具体的な表現となるデザイン、設計にも興味を持ちインフォメーションアーキテクト、人間中心設計専門家としても活動。
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黒沢 健二(クロサワ ケンジ)
1982年生まれ。リサーチャー/アナリストとして、大手IT企業での調査・分析や、大手不動産メディアでのビックデータ分析設計をはじめ、仮説構築から施策立案、検証まで様々なプロジェクトに携わる。学生時代にイタリアでデザイン設計を学んでいたこともあり、デジタル技術の進歩を見据えた人の創造性のあり方が興味関...
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