モニタリングは日常的かつ構造的に行う
必要なデータの収集が完了したら、いよいよ分析の開始です。前回の記事の例を使い、具体的にご説明します。
あなたは、会員向けオンライン有料サービス会社に勤める中間管理職です。新規会員登録後1か月間はお試し期間として無料、その後、有料となるビジネスモデルです。これまでは会社の売上が順調に増加していましたが、最近は伸び悩んでおり、その解決策の立案を上長から指示されました。そこで、以下の課題を設定し、仮説を洗い出し、そのうえで分析ゴールを決めました。
- 課題:売上が伸び悩んでいる
- 仮説:顧客の離脱率が増加している
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分析ゴール:・離脱率を10% 低下させるための知見を得る
(離脱率 = 前月に新規会員登録した者のうち、登録後1カ月以内に離脱(退会)した者の割合)
まず初めに、状況を正確に把握します。売上の時系列変化を確認するのはもちろん、売上の構成要素の時系列変化も確認しましょう。
当初立てた仮説の通り、離脱率が増加しており、それが売上鈍化の原因であることは間違いないようです。もし、仮説が間違っていた場合は、新たな仮説を立てて確認する作業を繰り返しましょう。
ちなみに、データの時系列変化を定期的に観測することを、「モニタリング」といいます。皆さんも、ご自身のビジネスにとって最重要なデータ(たとえば、売上、ノルマの達成率、顧客からのクレーム件数、在庫の回転数、など)を日常的にモニタリングされていることと思います。
それでは、それらの構成要素についても、モニタリングしていますか?
たとえば、売上があなたにとっての最重要データである場合、その構成要素である「顧客数」や「顧客単価」についてもモニタリングしていますか?もし、それらについてもモニタリングしていれば、「何が起きているのか?」だけではなく「何が原因なのか?」についてもいち早く察知することが可能となります。最重要データだけではなく、その構成要素も含め、構造的にモニタリングを行うようにしましょう。