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週刊DBオンライン 谷川耕一

真夏の社長交代劇―新体制はビジネス拡大の起爆剤となるか


夏バテもピークに近いのではというお盆前の8月8日、ERPベンダーである米国インフォアの日本法人、インフォアジャパンの代表取締役社長に7月1日付けで就任した尾羽沢 功氏が、日本でのビジネスへの取り組み方針について説明した。

尾羽沢新社長体制で3年後売り上げ2倍を目指す、鍵はインフォアブランドの認知度向上

尾羽沢新社長
尾羽沢新社長

 「3年間でインフォアジャパンの売り上げを2倍にするのが目標です」と語る尾羽沢新社長。

 調査会社の数字を見ると、ERPのマーケットは、ここ最近は2桁成長している。

 「ERPの市場では、インフォアが強味を持っている中堅から大企業が投資していると分析しています。製造業など、今までは投資を控えていたような企業が投資を開始しています。これはアベノミクスの効果ともいえ、今がまさにチャンスです」

 中堅、中小にも強いインフォアなら、ERP市場全体の伸び以上の成長ができる。なので、3年で売り上げを2倍にするという強気なターゲットを設定した。

 とはいえ、「グローバルの中でのトップ5カントリーに入りたい。今は残念ながらそこに入っていません」と言うよう、厳しい現状もある。日本市場でどうやって成長するのか。その1つが、パートナーエコシステムの拡大。現状の30社以上いるパートナーへの投資を強め、さらにパートナーを増やす。そして、現状の65%が直販というビジネス比率を、パートナーが50%にまで高めていく。

「案件の引き合いは多いので、そのあたりをパートナーにサポートしてもらう」(尾羽沢氏)

 パートナー比率を高める―これを言うのは簡単だが、すでにSAPやOracle、あるいは国産のERPベンダーなど競合は多い。その中でパートナーに、インフォアの存在感を示すのは容易なことではないだろう。そんな中でもインフォアの強味になるのが、製造業での実績だという。さまざまな顧客に対応してきた実績が多数あり、「それぞれの顧客要件に合ったソリューションを、ジャストフィットで提供できるのが強味です」と言う。このジャストフィットな提案をするために、営業、プリセールスの体制を業界に特化した形に変えていくとのことだ。

 現在、順調に日本の業績は伸びている。6月から始まった会計年度の2014年度も、2桁成長を目指せると予測している。このペースでいければ、目標であるパートナー比率の50%も楽に越えそうだ。

 「まずは、製造業の生産管理のところの強味を活かしていきます。顧客の頭に最初に『インフォア』が浮かぶようにしたい。そのためには、ブランドネームの認知度を上げることも重要です」(尾羽沢氏)

 製品が良くて決め細かい提案ができたとしても、顧客の認知度が低ければなかなか案件成立には結びつかない。インフォアという名前をどうやって認知してもらうのか。これは製品の良さを理解してもらうよりも簡単ではないかもしれない。

日本オラクルでも突然の社長交代が

 さて、米国インフォアのCEOはチャールズ・フィリップ氏だ。彼は、そう、ライバルであるOracleの前プレジデントだった。一時期は、ラリー・エリソンCEOの後継者かとも言われていた人物だ。そのフィリップ氏がインフォアにやってきて、インフォアの体制は大きく変わり、新たな成長戦略を描くようになった。それをまさに今実行しているところでもあり、インフォアジャパンもその方針に沿った戦略を遂行することになる。

 米国本社を含め、ITベンダーのトップマネジメントの交代は相変わらず頻繁に発生している。Oracle CEOのエリソン氏の後継も気になるところだが、その前にMicrosoftのCEOであるスティーブ・バルマー氏が、12ヶ月以内に退任し後継にその座を譲る方針が発表された。WindowsやPCビジネスの不振が退任の原因的な話も聞こえてくるが、12ヶ月という時間をかけじっくりと後継者を決められる余裕は、Microsoftという会社の懐の深さなのかなとも思えてくる。

 さて、同様に先週、突然の交代発表で驚かされたのが、日本オラクルの社長人事だ。「代表執行役 社長 最高経営責任者」の遠藤隆雄氏が「取締役会長 執行役」となり、「取締役 執行役 社長 最高経営責任者」にデレク・エイチ・ウイリアムズ氏が就任、「代表執行役」に「執行役員 チーフリーガルオフィサー 法務室長」だった金子忠浩氏が就任した。

 これらの役職名だけを見ると、いったい誰が日本オラクルで一番偉いのか、よく分からない。最高経営責任者と付いているので、経営責任のトップはウイリアムズ氏となるのだろう。そして、法人としての代表権を持つのは、金子氏に。一見矛盾するような複雑な構造も、日本オラクルが外資系でありながら東証一部に上場する日本企業ということが影響しているのかもしれない。

 元法務室長という金子氏の経歴からして、営業拠点として数字を上げていくビジネス部分を、彼がリードするとはあまり考えられない。金子氏の代表としての役割は、日本の上場企業としてのオペレーションを滞りなく行うところにあるのでは。対して、ウイリアムズ氏は、もともとOracle Corporationのアジアパシフィック地域の責任者を長く務めていた人物。なので、当時から日本のビジネスには深く関わっており、日本市場についても、日本のビジネス習慣についてもよく理解している。なので営業部門のトップとしてウイリアムズ氏が働くことには、なんら問題はないと思われる。

 巷では、このニュースを受け、「いよいよ日本オラクルも外人社長体制か」との話も聞こえてきた。しかし個人的には、今回のウイリアムズ氏の社長就任はワンポイントリリース。あまり長い間、彼が社長の座に就いていることはないだろう。その理由としては、彼の68歳という年齢がある。それと、日本で上場していることもあり、やはり日本人社長のほうがなにかと都合がいいというのもありそうだ。上場企業のオペレーションを金子氏との2人体制でというのには、ちょっと無理があるのではと思うところ。

 そうなると、替わったばかりではあるけれど、今回の体制とは別に新たな社長人事が動いているのではと勘ぐっている。とはいえ、金子氏が代表執行役に任命されたところを見ると、内部の執行役員の中からの社長昇格はいまのところ考えにくい。次の社長も、外部の人材なのではと予測。買収も多く、製品ポートフォリオもかなり多い、さらには日本での上場企業としての経営責任もあり、通常の外資ITベンダーよりも日本オラクルの社長は苦労が多そうだ。さてさて、どんな人物が、次の日本オラクルのトップに君臨するのだろうか。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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