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「商用ソフトウェアの壁」に行き詰まり、オープンソースの道へ…アシスト 田中健一朗さん


入社から一貫してサポートセンターに所属し、途中でアシストのPostgreSQL事業立ち上げにも関わった。アシスト サービス事業部 サポートセンター2部 課長 田中健一朗さん。今年からマネージャーに昇格した。新たに踏み出したマネージャーで目指すものは何か。

希望は「技術部署の一番難しいところ」

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田中健一朗さん

 田中さんがアシストに入社したきっかけは意外なところから。学生時代のバイトが縁でアシスト社員と話す機会があった。学生から見たら大抵の会社員とは大人びて見えるもの。しかし田中さんが接したアシスト社員(当時)は「大人っぽくなかった」。田中さんは当時を振り返りこう話す。

 「大人なのに堂々と夢を語る姿にひかれました。雰囲気も誠実そうでした。こんな人がいる会社に入ってみたいと思いました」

 入社が決まると配属の希望は「技術部署で一番難しいところにしてください」と申し出た。果敢である。技術の部署を指定した理由は工学部だったからというのと、バイトの経験から営業は向いてないと感じたから。

 配属されたのはサポートセンター。新人研修は共通のものから始まり、配属に応じて分化し、データベース研修では8人しかいなかった(同期は60人)。アシストのサポートセンター業務の多くはOracle Databaseが関係してくるためデータベース研修は必須だった。実際にスキルや知識を得たのはOJTが中心だったという。最初は簡単な質問に答える形で「とにかく数をこなしました」(田中さん)。

 2年目にはサポートセンターの夜シフトも経験した。田中さんを含め、2年目となる同期の仲間たちは資格取得を目指していた。田中さんは「勤務中はいつ重要な電話がかかってくるか分からないので、夜シフトの期間は勉強に集中できず、シフト明けの休日にがんばりました」と話している。

 「IT業界に身を置くと覚悟した時点で、特に学ぶことに関してはその他の業界以上に継続していかなければならないと覚悟して入社しました。自分の中では『マグロの覚悟』と呼んでいます。(マグロは常に泳いでなければ呼吸ができず死んでしまうため)このような覚悟で業務を続けていたので一定のスキルを身につけられたのではないかと思います」

 努力のかいもあり、田中さんほか同期たちはそろってOracle Master 9i Platinum(現行のGoldに相当)に合格したのだそうだ。

 夜シフトで最も印象に残っているインシデントは交代直前にかかってきた電話。朝8時50分、あと10分でシフトが終わるという時間帯である。そこに「データベースが落ちてます!」と顧客からヘルプの電話がかかってきた。田中さんが「いつまでに起動しなくてはなりませんか?」と聞くと、顧客は「9時には」と答えた。あと10分しかない(!)。

 幸い、10分以内に正常稼働させることができた。原因は前回のシャットダウンが不正だったため。何らかの理由でオンラインバックアップ中にシャットダウンされてしまい、次回いざ起動するときに起動できずにいたというわけだ。田中さんはそれを察し、適切な指示を出すことで9時までには起動させることができた。

 トラブルに遭遇するとたいていの人は困惑し慌ててしまうものだ。先の例では起動できていないのに「落ちてます」という具合に、顧客は現状を正確に伝えてくれるとは限らない。そこがサポート業務の難しいところではないかと尋ねると、田中さんは「ぼく、ミステリー小説が好きなんです」と目を輝かせた。顧客の言葉や各種ツールで得られた情報をもとに真実を探る過程はミステリー小説を実体験しているようなものなのかもしれない。そして田中さんにとってこれこそがサポート業務の醍醐味(だいごみ)なのだろう。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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