誰でも簡単にマルチテナントを構築できる
前回は12cの目玉機能であるOracle Multitenantの概要を紹介しました。Oracle Multitenantは「データベースの中にデータベースを作成する機能」であり、11gR2以前と比べてアーキテクチャが大きく変更されています。今回は、その仕組みをより詳しく理解するために、12cのマルチテナント環境を実際に構築し、操作してみます。
まず始めに、12cのソフトウェアをインストールします。インストールに自信がない方でも、コマンドが1つひとつ書かれた日本語の手順書がありますので、これを利用すれば手順を間違えることなく短時間でインストールできます。12cのソフトウェアとインストール手順書はOracle.comのアカウントがあれば、Oracle Technology Network(OTN)からダウンロードすることができます。
http://www.oracle.com/technetwork/jp/database/enterprise-edition/downloads/index.html
2013年8月末時点で、12cが対応しているプラットフォームは以下のとおりです。いずれも64bitのみの対応になります。なお、Oracle Clientは12cになっても32bit版が引き続き提供されています。
http://www.oracle.com/jp/system-requirement/db-matrix-195845-ja.html
マルチテナントの構築で重要な2つのステップ
今回はLinux環境にインストールを行います。ソフトウェアをダウンロードしたら、手順書に従ってインストールを行います。Oracle Universal Installer(OUI)を立ち上げたら、あとは画面に従って情報を入力していくだけですので非常に簡単です。マルチテナントを構築する場合、途中のエディション選択画面でEnterprise Editionを選択してください。
Standard Edition OneとStandard Editionでもマルチテナントを構築できますが、作成可能なプラガブル・データベース(PDB)の数が1つに制限されています。これはあらかじめPDBとしてデータベースを作成しておくことで、Unplug/Plugによって簡単にEE環境へデータベースを移行/バージョンアップできるようにするための措置です。複数のPDBを作成する場合は、Enterprise Editionを使用します。
ソフトウェアのインストールが完了したら、Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してデータベースを作成します。マルチテナントを構築する場合、『コンテナ・データベースとして作成』にチェックを入れてください。同時にPDBを作成したい場合は、PDBの数と接頭辞を入力します。以下のように入力すると、『pdb1』『pdb2』『pdb3』という3つのPDBが作成されます。
あとは画面に従って情報を入力していけば、データベースの作成は完了です。